或る指輪

私は装飾品にはあまり興味が無い。かと言って、全くつけないわけでもない。かつては買いたくてたまらない時期が有ったから、数点は持っている。
 今日は何故、指輪を話題にするかと言うと、毎年、2月上旬になると、或る指輪が私の記憶を呼び覚ますからだ。
 泰日文化倶楽部は1988年10月からスタートしたが、翌年1989年夏頃から一人のタイ人青年がアシスタントとして手伝ってくれるようになった。彼の通称はペン君。当時20歳。心根の優しい青年であった。
 翌1990年2月上旬、ちょっとバンコクへ帰りたいというので、私は快く応じた。しかし、彼は日本に帰って来なかった。交通事故に遭い、天国へ行ってしまったのだ。
 ペン君は日曜日には代々木公園でのフリーマーケットに参加し、タイのグッズを売っていた。商家の息子さんだったから、商品を販売することが好きだったようである。私は彼から指輪を買った。1個¥400。
 その指輪を大切に取ってある。普段はあまり気にしていないが、2月上旬になるとその指輪が気になって仕方がない。
 ペン君が生きていれば、46歳になる。天国から、「泰日文化倶楽部、まだやってるんだね」という声が聞こえてきそうだ。

出前出張講義

4日の夕方、福島県へ行き、5日の出前出張講義に備えるべく、ホテルで一泊。5日の朝、東京で地震が発生したとのニュースを聞いて、やはり余裕を持って旅行するに限ると思った。
 午前10時から午後5時までの授業を乗り切るには精力をつけておかなければと思い、福島牛のローストビーフを食べた。地元で造った地ビールと一緒に食すると、実に美味い! これで講義の成功を確信した。
 受講生はタイ語の学力を増強したいという意識が高い方達だったので、その熱意に応えて、私も全力投球した。
 毎週、先生について勉強できる環境に恵まれている方達は<学ぶ飢え>を知らない。だが、地方在住の方達はタイ語のブラッシュアップを熱望しておられる。
 要請を受ければ、どこへでも出前出張講義に行きたい。そして、文法的な悩みをすっきりと解消してさしあげたい。

蜂蜜

今日は立春。昨日、パステル・カラーのセーターを買った。春を先取りした気分はすこぶる良い。
 ところで、昨日、朝から晩まで仕事をし過ぎたので、今朝、喉の調子が悪い。そこで早速、買い置きしていた蜂蜜セットの箱を開けた。
 中には3種の瓶が入っている。驚いたのは、国産とばかり思っていたのに、実は外国産の蜂蜜であった。アカシア蜂蜜はルーマニア産、オレンジ蜂蜜はメキシコ産、クローバーはカナダ産。有効期限はいずれも2017年6月まで。
 外国へ行かなくても、諸外国の産物が家庭に入り込んでくる時代。それはそれで面白い。
 そう言えば、以前、「patagonia」というブランドのスポーツウェアを買ったが、服に付けられたタグには、スリランカ製と書いてあった。
(お知らせ)今日から地方出張のため、明日のブログは休みます。

上司の紹介

昨日、3年前に個人レッスンを受講されていた方からラインが入って来た。現在、バンコクに駐在しておられることが書かれてあった。
 用件は東京で採用したばかりの女性に対して、バンコク勤務前に、是非ともタイ語を受講させたい、従いましては、個人レッスンをよろしく、というものであった。
 上司が部下にタイ語学習を勧めるということはすばらしいことだ。初歩の初歩でいいから、タイ語に触れておくこと、そして、発音の仕方を心得ておくことは、バンコク生活にとって有益なことである。
 早速にも来週から個人レッスンをスタートすることにし、受講者も承諾された。すべてスイスイと事が運んだ。おそらく20時間位のレッスンになると思われるが、要領よくご指導したいと思っている。

茶道帛紗

お茶の稽古のために、昨日、帛紗を買いに行った。真面目に稽古するために、高級な帛紗を選んだ。創業正徳二年(1712年)の老舗のものである。
 あまりにもたくさんの色目のものがあり、迷いに迷った。そして、選んだ色は、「利休白茶」。利休鼠という色は聞いたことがあるが、そろそろ春も近いので、やや淡いほうの色にすることにした。
 昨日、BSテレビで「京都の和菓子は3度の楽しみがある」と解説していたが、それは、色によって季節を味わい、お菓子につけられた銘を聞いて、和歌を思い出し、最後に、使われている材料の融合をおいしくいただくとのこと。
 タイも王朝文化を持っている。暑い国なのですべてが強烈な感じを受けるが、みやびなものは伝統的に残っている。外国からの安物に押されることなく、タイ固有の美をしっかりと残していってもらいたいものだ。

新しい先生の愛称は กิ๊ก

今日から2月。下落合界隈を散策すると、梅の花が咲きほこっていた。今年は何もかもが早く推移している。
 ところで、一昨日(先週の土曜日)より、新しいタイ人講師をお迎えした。彼女の愛称は「กิ๊ก kik」。「友達以上、恋人以下」という意味だ。なんとまあ意味深なネーミングだこと!
 今年の1月6日に来日したばかりだから、元気溌剌でいい。早速、個人レッスンの自由会話講師になっていただいた。生徒さんも思い切り会話ができて大満足。
 それにしても、タイ人って、ものすごく順応性があるなあ。自然体でものごとをスイスイやりこなすのを見ていると、緊張体質の日本人がまるで反対位置にあるような気がしてならない。
 ここ数年、思うこと、それは、タイ人のほうが屈託ないまま、どんどん積極性を増していることだ。反対に日本人は静かすぎる。そして、学習する意欲も根性も落ちている。世の中のアップ&ダウンに左右されることなく、自分の将来に役立つことを、せっせと身につける姿勢を持ってほしいと、つとに願う。

1月のまとめ

今月は新しい生徒さんが2名、入会してくださった。一人は中国女性だ。彼女が言った。
 「吉川先生は日本人ではないみたいに見えます。はっきり言いますから、私、好きです」
 それを聞いて、私は彼女と握手した。
 もう一人の生徒さんも女性だが、大学時代にタイ語の授業を選択科目で取ったらしく、単語はまずまず覚えておられた。社会人になって、また勉強したくなったようである。
 あとは復学者が3名有った。久しぶりに授業を受けて、「やはりタイ語をもう一度始めてよかったです」という感想を聞くとと嬉しくなる。
 だが、何らかの事情でやめて行かれた方、及び、休学の方が7名出た。2016年1月は生徒数がマイナス2名となった。2月に上向くことを期待しよう。

覚え込もう、教科書は。

昨晩、「タイ語入門 金曜日19:00」の出席者は男性4名。教室で使っている教科書はすでに終わっているので、自由会話の時間をたくさん設けているが、日本人は自由会話が苦手なようである。日本において、タイ語を喋る機会はきわめて少ないわけだから、与えられた好機を利用して、タイ語での会話を楽しんでもらいたいと願っている。
 だが、90分間、自由会話をするのには、話題がもたない。したがって、いろいろな表現を思い出していただきたくて、すでに習っているテキストの表現を生徒達に言わせながら、発音矯正にあたった。
 生徒達はみんな、「そんな単語、習ったかなあ?」という反応を示す。その際には、「何ページの何番の単語ですよ」と、私は言って、確認させる。
 私は常に思う。同じ教科書を何度、勉強してもいいと。ただし、同じ態度で勉強するのではなくて、いろいろと異なる角度から再確認して、表現力を高めるといい。

発音を磨こう!

そろそろ1月も終わり。2016年度の授業がスタートしてすでに3週間が経った。この調子だと、春が来て、夏が来て、秋が来て、そして、冬が……。
 生徒の皆さんの発音は甘い。明瞭ではない。すべてのクラスにタイ人講師を配置しているわけだから、もっと発音が上手になってもいいはずなのだが、成果が見られない。
 これではダメだと思い、私は檄を飛ばした。
「皆さん、発音が肝心です。是非とも発音を矯正してください!」
 一人の生徒が言った。
「スピードラーニングのタイ語版が出るといいんですが…..」
 私はすかさず言った。「ツールに頼るのはやめましょう。生まのタイ人講師がすぐ目の前にいらっしゃるんですよ。先生から直接、多くのものを吸収してください」
 はっきり言って、10代から外国語を勉強すると、耳がいいから、ネイティブの発音を吸収することができる。年齢が高じると……。発音だけが語学の学習ではないが、発音が悪いと通じないわけだから、やはり発音を磨こう!

作品完成の喜び

昨年は一年間、編物教室がお休みであった。理由は編物の先生のお宅が新築に建て替えるため、教場が無かったからである。
 そして、今年1月から新築の家で再び教室が再開された。私は一昨年12月に取り掛かっていたカーディガンを完成させることができないまま、ずっとしまいっぱなしであったが、昨日、それをどうにかこうにか完成させることができた。作品の完成を見るのは素直に嬉しい。昨晩、教室から帰宅する時、コートの下にそれをはおって、とても暖かく思った。
 ところで、タイ語を習いに来られている生徒達はどういう時に学ぶ喜びを感じたり、自己の学力の進歩を確信するのであろうか? 教師である私は、一人一人の学力、そして、伸びしろを把握している。しかし、それを口に出すと、いやがられるかもしれないから、あえて言わない。でも、本当は教えてあげて、欠点をばねにして、更なる実力をつけていってもらいたい。そして、タイ語の学力が上がった喜びを、半年に1回くらい味わってほしいものだ。