解体工事

隣家が解体することになったので郷里に帰った。解体業者から、「お盆前には終わらせます」と聞いていたので、それに合わせて帰省したのに、まだ終わっていなかった。
 工事責任者に解体の遅れを尋ねてみたところ、「増改築を繰り返した家なので、構造計算上、建物にかかっている圧力がそれぞれに異なっており、一気に解体すると、隣りの家に躯体が飛んでしまいかねないから、時間をかけて、ゆっくりと解体しているというわけです」との説明。
 それを聞いて、構造計算は建物を建てる時には必要だが、解体する時にも大切な作業であることを知った。
 タイ語教師として、この話から得られた教訓。それは、いろいろな方法でタイ語を学ばれた方達を教える場合、くせがつきすぎていて、非常に教えにくく、成果を出すのに相当の時間がかかるということだ。語学にも構造計算が必要なり。
 これは蛇足だが、解体業者は私の家を解体した方と同一人物であった。
「20年前にやらせていただきました。なつかしいです」
 それを聞いて、田舎の誼(よしみ)を覚えた。

立秋・晩夏

昨日は暦の上で立秋。東京の猛暑連続はどうにか8日間でストップした。一昨日の37.7度から33度になると、歩いていても暑いと感じなかったから不思議。台風の余波による風のせいかもしれない。
 8月の季語は、立秋、あるいは、晩夏。知らず知らずのうちに季節はうつろい行く。暑さもあと10日の我慢か…..。
 教室のカーテンを洗濯した。8月21日からの教室の再開に向けて、気分一新したかったからである。 
 今日から私は郷里へ帰る。墓参と草取りだ。旧友に会いたいが、皆、暑さでぐったりしているであろうから遠慮しよう。
 これまでに行ったことがない所へ行ってみたい。はてさていずこへ? 帰京は11日の夜。それまで徒然なる独白はお休みです。

書類はしっかり読もう!

次は生徒さんから聞いた話である。
 「姑が地方に一人で住んでいます。90歳です。ものすごく気丈なので、どうしても一人で暮らすと言ってきかないんです。私達夫婦はとても心配なので、一緒に住みましょうと言っているのですが、あくまでも今のままでいいと……。ところが、最近、介護申請にあたって、申込みの書類が煩雑すぎたため、パニックに陥ったようです」
 それを聞いて、90歳で数々の書類に隅々まで目を通し、自己判断で記入していく気力が有る方なんて、そうそういるものではないと思った。仮にもし、同じ状況になった場合、自分が完璧にできる自信はない。
 というわけで、最近、送られて来た書類にきちんと目を通し、用語や表現、そして、数字を見た。今から書類に強くなる訓練開始だ。

語学センスを磨こう!

泰日文化倶楽部は今日8月7日から20日まで夏休みに入った。2015年の授業は3分の2が終了。
 夏休み中は、のんびり休むなり、出かけるなり、好きなように時間を過ごすことが一番いいに決まっているが、ここで提案したいことがある。
 それは、「語学センスを磨こう!」ということだ。教科書だけ勉強していても、全く面白くない。教科書に書かれていることは基本的内容だ。それをいかに応用するかは、生徒の意欲にかかっている。
 授業中、発音のことでいつも指摘しまくっているが、その都度、思うことは、タイ語に対する感覚が弱いということだ。「タイが好きです」ということだけではタイ語は上手にならない。「タイ料理が好きです」といっても、タイ語の声調はよくならないし、単語数が増えるわけでもない。
 語学センス! それをどのようにして身につければよいかについては本人の猛省次第。この夏休みの課題にしてほしい。

戯曲「核の信託--原爆をだれの手にゆだねるかーー」

約30年前の生徒さんである五十嵐勉氏はアジア文化社を長年にわたり主宰し、『文芸思潮』を発行しておられる作家だ。
 その彼から手紙が届いた。共通の友人に宛てた文面だから、以下に引用させていただく。
 ー 暑中お見舞い申し上げます。日頃のご無沙汰を御許しください。このたび、拙作・戯曲「核の信託」が上演されることになりました。ぜひ、日頃お世話になっております方々にも観ていただきたく、御案内申し上げるしだいです。
 核兵器の開発とその超破壊兵器をどのように使うか、世界史の劇的な問題を扱っています。
 御多忙中、恐縮ですが、どうか観に来てください。私は毎日、会場におります。チラシを同封させていただきます。よろしくお願いします。
 今日は8月6日。もうすぐNHKで広島からの中継が始まる。合掌。

夏休みはタイ語を書こう!

タイ語の単語はサンスクリット、及び、パーリ語からのものが多いので、いつも書いて書きまくって、忘れないようにしなければならない。
 昨日、「タイ語中級 火曜日10:30」のクラスの生徒3名にタイ語を書かせた。出来栄えはあまり芳しくない。書かせた単語の一例を挙げると、以下の単語である。
 例:銀行、大学、郵便局、日曜日、大きい、気に入る、気が重い、清潔でいい、午前6時、正午、午後3時、等々。
 タイ語を書かせると、短母音で書くべきところを長母音で書く傾向がある。あるいは、その逆も。したがって、母音の長さが正確に身についていない。
 声調記号をつけるのを忘れているのは、どの生徒にも見られる。末子音の書き間違え、r音とl音、さらには、無気音と有気音の書き間違えも数々ある。
 夏休み(8月7日~20日)は、家でタイ語をたくさん書いてもらいたい。さらには、タイ語で作文を書き、文章構成力の養成にも挑戦してもらいたい。

個人レッスン vs  グループ・レッスン

最近、個人レッスンを希望する方達が増えてきた。理由としては、早く上達したい、そして、タイ文字をしっかり学び、すらすら読みたい、等である。
 グループ・レッスンだと、仲間への配慮を示さなければならない。発音する回数も個人レッスンよりは少ない。下手な発音の人の発音を聞くのは耐えられない。
 しかしである。泰日文化倶楽部のグループ・レッスンは、クラスの平均が3名だ。誰かが休むと、ほぼセミ・プライベート状態。幸せと思ってほしい。
 昨晩から個人レッスンに切り替えた方がおられる。先生はタイ人講師と私の2名。私は教えながら、生徒の理解の仕方、くいつき方、語学センスの容量を刻々と観察していく。
 とにかく、90分の授業を最大限に活かして、生徒のタイ語力を伸ばしていかなければならない。発音が悪ければ、容赦しない。日本シンクロの井村雅代コーチくらい厳しくしたい。そして、早期のうちに結果を出したい。たらたらしているのが一番良くない。

夏眠

 昨晩、マンションの階段に蝉(จักจั่น チャッカチャン)がお腹を上にして横たわっていた。今朝も同じ姿でいた。死んだ蝉だと思い、ごみ袋に入れようとして触ると、急にばたつき始め、そして、どこかへ逃げて行ってしまった。
 なんだ、死んではいなかったのだ。死んだふりをして、仮眠していたのだ。暑すぎるから、しばし、<夏眠>していたのかもしれない。
 蕎麦屋に行くと、入り口を入ったところに金魚を入れた鉢が置いてある。そこの金魚(ปลาทอง プラー・トーング)はいつもじっとしている。だから、金魚を模したおもちゃとばかり思っていた。ところが、私が鉢の中の水に触れると、なんと金魚が動き出した。生きている。なんだ、これまで<夏眠>していたのだ。
 こう暑いと、冬眠の反対である夏眠をしたくなる。体を酷使しては大変。今夏が乗り切れない。
 しかし、私の場合、学生に試験をしたため、採点と評価が待っている。まだまだ夏眠できない。

台湾青年

2年前から個人レッスンを受講していた台湾青年が、昨日、久々に教室に現れた。彼は今年に入ってから台湾に長期出張をしていたので、彼の再受講を私は殊の外、喜んだ。
 彼の勉強態度はとても積極的。「先生、私は自分でテキストを読みますから、聞いていてください」と言うので、私は彼の発音を矯正するだけ。タイ文字も彼自身の努力で、どんどん読めるようになった。
 ところがである。長いブランクが有り過ぎたために、タイ語の勘が鈍っていた。似たようなタイ文字の判読に手間取っている。長いブランクはやはりマイナスだなあと思った。
 だが、授業が後半に入ってからは、次第に彼の読むスピードが加速していった。本来の彼に戻りつつあった。
 数ヶ国語をマスターしている彼にとって、タイ語は第6ヶ国語目だ。声調言語は得意中の得意。文法もほぼ中国語と同じだから、とりたてて文法の説明をする必要はない。
 とにかく教えやすい生徒さんだ。だが、授業の最後に彼は言った。
「あと10日で台湾に本帰国します」
 今回の帰京は荷物整理に帰って来たというわけだ。時々、東京に出張に来るそうだから、是非とも泰日文化倶楽部に顔を出してほしい。