夏眠

 昨晩、マンションの階段に蝉(จักจั่น チャッカチャン)がお腹を上にして横たわっていた。今朝も同じ姿でいた。死んだ蝉だと思い、ごみ袋に入れようとして触ると、急にばたつき始め、そして、どこかへ逃げて行ってしまった。
 なんだ、死んではいなかったのだ。死んだふりをして、仮眠していたのだ。暑すぎるから、しばし、<夏眠>していたのかもしれない。
 蕎麦屋に行くと、入り口を入ったところに金魚を入れた鉢が置いてある。そこの金魚(ปลาทอง プラー・トーング)はいつもじっとしている。だから、金魚を模したおもちゃとばかり思っていた。ところが、私が鉢の中の水に触れると、なんと金魚が動き出した。生きている。なんだ、これまで<夏眠>していたのだ。
 こう暑いと、冬眠の反対である夏眠をしたくなる。体を酷使しては大変。今夏が乗り切れない。
 しかし、私の場合、学生に試験をしたため、採点と評価が待っている。まだまだ夏眠できない。