福島と花

昨日、福島市へ行った。新幹線を降りて改札口まで進むと、素敵な生け花が目に飛び込んで来た。JRの駅構内に生け花が生けられているのはよく見かける。だが、これほどまでに大きな生けっぷりとは! かつて見たことがないなあと感心した。
 そして、何よりも私を惹きつけた理由は、それを生けた方が、私が所属している流派と同じ小原流の華道家であったことだ。
 そこで、すかさず私の先生に電話を入れた。「先生、福島駅にすばらしいお花が飾られています。小原流です!」
 生け花のそばに説明書きが有った。「華道6流派による花文化展示会です。日本の伝統文化であるいけばなと福島県産の美しい植物が、あなたの旅の思い出の一つになれば幸いです」
 6流派が1ヶ月ごとに交替で生け花を担当するとのこと。8月は小原流。その8月に福島へ行く機会に恵まれたことを私は殊の外、嬉しく思った。これこそまさしく静かなるおもてなしだ。

屋上野菜

泰日文化倶楽部が入っているビルの裏側に、新宿区の消費者センタービルが有る。そこの1階には、「もいちど倶楽部」という名前のリサイクル店が有り、引出物やお土産でもらったものの、気に入らないからという理由で売って欲しいという要望を持った方達が、それらの品々を持ち込んでいる。
 同じ1階にカフェが有り、都会には珍しいくらいゆったりとしたスペースが確保されていて読書の場所としてはもってこいだ。3日前にそこへ行くと、レジの近くに野菜が売られていた。「屋上栽培の野菜です!」というキャッチコピーにつられて、トマト、ピーマン、きゅうりを買った。
 泰日文化倶楽部から50mくらいしか離れていないところで、野菜が育っているとは、なんとも嬉しいことだ。水と光、そして、良き土が有れば、都会の屋上でも形となる。自然の恵みに感謝。

明日は福島へ

明日は福島へタイ語を教えに行く。今年2月にも教えに行ったが、そのとき、「是非、また教えに来てください」と言われた。日本人特有の外交辞令であろうと思ったが、彼らの言葉の中に真実味が込められていた。そして、明日、第2回目の授業が実現することになった。
 受講生は2名。二人ともタイ語を習ったことがある。したがって、語学力維持のためにブラッシュアップをしたいそうだ。その考えはとてもいい。いろいろと質問を用意しておられるようだから、私は私の観点から、彼らに分かりやすく解説をしようと思っている。特に通訳の仕方を教えるのが主たる目的だ。
 語学はネイティブ講師だけではなくて、日本人講師とも習うことをお勧めする。発音と雰囲気はネイティブ講師から、そして、文法は日本人講師から習うと効果的だ。ましてや、習えば習うほど微妙な質問が生じてくる。それに答えられる日本人講師の存在価値はまことに大きい。

教室の掃除は楽しかりけり

泰日文化倶楽部は創設してから27年と10ケ月になる。その間、教室の掃除をしてきたのは、ほかならぬ私。私以外に誰もいない。しかし、その掃除が全く苦にはならない。むしろ、心を清める意味で、積極的にやっている。
 昨日も、机の上を拭きながら、生徒達がやって来られるのを待つひとときに、大いなる幸せを覚えた。
 昨晩の「タイ語中級 月曜日18:00」のクラスには、正式エントリーの生徒が4名、そして、サービス生徒が3名、出席し、計7名がつどった。久しぶりに教室に華やぎがみなぎった。
 あと1週間で夏休みに入る。皆さん、タイへ出発だ。出発する前に、タイ語に磨きをかけたい。そんな気持ちがよく伝わって来た。

火災報知器

一昨日の土曜日、「タイ語中級 土曜日14:15」のクラスを教えておられるミカン先生が、息せき切って教室に現れた。いつもよりも顔色が悪い。
 「遅れてすみません。家から出ようとすると、เครื่องดักควันが鳴ったんです」
 เครื่องดักควันとは、เครื่อง(機械、器械)+ ดัก(待ち伏せする)+ ควัน(煙)=火災報知器のことだそうだ。
 この単語は初めてである。滅多に使うことが無い単語はなかなか覚えないものだが、ミカン先生の驚いた表情が印象的であったので、もう忘れない。
 タイ語初級者なら、เครื่อง を使った単語を10語はすでに習ったと思う。それらを書き出してみよう。そして、すらすら書けたら、さらに10語を調べて追加しよう。語彙数の増加をはかることは、語学の勉強の基本的な作業である。

「吉」が出た小鉢

武相荘にはミュージアムに行く手前に瀟洒なレストランが隣接されていた。遅いランチであったため、客は私一人。昭和のレトロムードがたっぷり。
 松花堂弁当を注文した。説明しきれないほどの具材。和洋混合のおかずの取り合わせに大満足。有田焼とおぼしき或る一つの小鉢を食べ終わると、「吉」なる漢字が底に現れた。なんとも目出度い。器に仕掛け! こんな愉快な食事は初めてであった。
 7月も今日で終わり。いよいよ夏本番。私自身は年がら年中、忙しい。しかし、「吉」を信じて、明日からも東奔西走だ。

男性からの素敵な言葉

 昨日、町田方面へ仕事に行った。仕事が終わったら、鶴川に在る「旧白洲邸 武相荘」へ行こうと決めていた。白洲次郎氏と正子さんの御夫妻が住んでおられたところである。
 白洲正子さんの書斎を見ることができて良かった。彼女自身がまだそこに座っており、静寂な空気の中でじっくりと文章を紡いでいるかの如くであった。林芙美子の書斎と同じく、凛としたものを感じることができた。
 そして、何よりも素敵だなあと思ったこと、それは、次郎氏が正子さんに送ったポートレートに書かれた言葉である。
 ”Masa: You are the fountain of my inspiration and the climate of my ideals.”
このように素敵な言葉を女性に対して心から言える日本男性が、現在、果たしているのであろうか?

タイ語を書こう!

「タイ語中級 木曜日19:00」のクラスを教えておられるボン先生から、「次なるテキストを用意してください」という連絡が入ったので、昨晩、教室に行ってみた。生徒の皆さんと話し合いをして、どんな内容のテキストを使用したいのかを検討したかったからである。
 しかし、もう少しで夏休みに入るので、勉強の仕方を変えて、昨晩と来週の木曜日の2回は、ディクテーションをするようにと指示した。そして、タイ人講師に短文を読んでもらい、生徒にタイ語を聞いて書かせた。
 結果は……? 残念なことに、芳しくなかった。聞いてわかった気になっているだけでは駄目。タイの文化、歴史、そして、仏教に関する単語は最低限、書けるようになってもらいたい。

西高東低

泰日文化倶楽部の生徒達に、それとなく出身県を尋ねると、西日本出身の方が圧倒的に多い。西高東低だ。
 昨晩、「タイ語入門 水曜日19:30」のクラスの生徒さんに、「ご出身はどちら?」と訊くと、「高知です」と彼は答えた。そこで、私は言った。「なんや、そうやったん。知らんかったわ」
 すると、彼はすかさず応じた。「丸亀の言葉みたいですね」
 見事に言い当てた彼に、私はびっくり。やはり、四国の者同士はわかるのである。
 いずれにせよ、生徒達の出身県を列挙すると、愛媛県、高知県、香川県、福岡県、山口県、広島県、岡山県、大阪府、和歌山県、京都府、愛知県、長野県、等々、西日本が多い。彼らは皆、関東に出て来て頑張っている。タイに関心を持ち、タイ語を習ってくださっているのは、とても嬉しい。

甘いものとワイン

昨日、高田馬場駅前に在る安い値段で売っているお菓子屋さんに行ってみた。驚いたことは(สิ่งที่ตกใจก็คือ)、レジ前に並ぶ客の列が途絶えることが無かったこと。かなり長いことやっている店だが、このぶんだと、高い家賃でも店の経営は大丈夫と思った。
 買って来たチョコレートを食べながら、『100歳までボケない101の方法 実践編』(白澤卓二著 文春新書 2012年)を読んでいると、その中に、世界で一番長生きをしたフランス人女性のことが書かれてあった。彼女が唯一口にしていたのは120歳までがタバコとワインとチョコレート、そして、122歳で死ぬまでの2年間は、ワインとチョコレートだけで生活していたそうだ。白澤氏によると、「医者の立場としては無条件で勧めるわけにはいかないが、<甘いものとワイン>が長寿の秘訣として条件づけられるかもしれません」と書いてあった。
 一昨日、私は亡き母の誕生日を一人で祝った。1906年(明治39年)生まれなので、生きていれば110歳だ。フランス人女性の122歳までには、まだまだ追いつかない。