旧友からの電話

勧誘電話が多いので、自宅の電話を取るのはやめにしたいのだが、やはり、ついつい取ってしまう。理由は親戚からの緊急かもしれないと思ってしまうからだ。
 昨日もそうであった。最初、無愛想に応対すると、なんと25年も会っていない旧友からのものであった。年賀状はずっと交わしているので、それでいいかなあと思っていた。
 彼女が花づくりに精を出しているのは年賀状からよく伝わって来ているが、「御主人は?」と尋ねると、「仕事はもうしていません。今、竹を切り出しに行ってます。花の周りに竹囲いを作ってくれるのよ」、と、彼女は答えた。
 そして、彼女は本題に入った。
 「昔からの友達が、このところ、急に会いましょう、ねえ、会いましょうよ、と言ってコンタクトしてきてるの。もう、そんな年齢になったのね。だから、私もあなたに会いたくなったわけよ」
 私は答えた。「それじゃあ、会いたがっている友人達を優先して会ってくださいな。私は現役ばりばりで働いているので、スケジュールがいっぱい」
 なんだか冷たそうな返事ではあるが、私は予定が未定という状態で、毎日をこなしている。旧友にも会いたいが、仕事人間の私は社会の中に飛び込んで行くほうが好きだ。

まさる守

正月のテレビニュースで、赤坂日枝神社の「まさる」というお守り(เครื่องราง)がとても御利益があり、霊験あらたかなるものである(มีศักดิ์สิทธิ์)と報道されていたので、是非とも欲しいと思い、日枝神社に詣でたのが1月7日。
 日本人だけではなくて、外国から来た人々も、お守りが並べられたコーナーにいっぱい集まっていた。
 「まさる」は、「魔去る」に通じるから縁起がいいようだ。それに、今年の干支であるお猿さんの顔をしているから、益々もって縁起がいい。
 今年は新年早々から、世界中で大きな事故が発生している。願わくば、この「まさる守」によって、2016年が穏やかに過ぎて行くことを願うのみである。

東京から地方へ

 昨日、大学では期末試験をした。学生達は黙々と回答用紙にペンを走らせている。窓の外に目をやると、遠くに富士山が見えた。これまで学生の方ばかり見て授業をしていたので、富士山には全く気がつかなかった。
 ところで、試験後、多くの学生達との別れが有った。今春、社会人になる学生達。時々、タイ語の授業を思い出してほしいと願いつつ、「โชคดีนะคะ 幸運を祈ります!」と、私は一人一人に声をかけた。
 学生の中に、香港から来た学生がいた。彼は将来、言語学者を目指しているだけあって、多言語を完璧に操る。どうすればそのような能力が身につくのか、いつも不思議でならなかった。
 彼は研究の場所をドイツに移そうとしているが、昨日、耳にしたところでは、しばらく日本の地方へ行って、広東語を教えることになったようである。
 それを聞いて、東京に住んでいるすばらしい逸材は、地方の要請を受けて、地方で活躍することはすばらしいと思った。 
 私も来月、一日だけ、タイ語の出張講義に行くことになっている。地方から東京に来るのは何かと費用がかさむ。数人の学生達が東京に来るよりも、一人の講師が出張するほうが経費的にも安上がりだ。新しい出会いで、互いに気持ちいい刺激が得られれば面白いと思う。

雪 ひらひら

昨日は東京に初雪が降った。交通機関は相当に混乱し、一日中、そのニュースでもちきりであった。
 泰日文化倶楽部はいつも通りの授業を展開した。去年4月に来日したタイ人講師に向かって、生徒が尋ねた。
 「先生、雪を見たのは生まれて初めてでしょ?」
 すると、講師は答えた。
 「いいえ、富士五湖へ行った時、雪を見ましたから、初めてではありません。しかし、実際に降っている雪を見たのは初めてです」
 横で彼らの会話を聞きながら、私は思った。写真で見る雪は静止状態だ。そして、雪が積もっている現場を見るのも、完全とは言えない。日本情緒を味わうのには、雪がひらひらと舞い降りている光景を見ることが一番だ。
 タイ人講師はものすごく感激していた。

今年最初の入会者は中国人

1月9日、中国人女性が「タイ語入門 土曜日10:30」のクラスに見学に見えた。年末に問合せの電話を頂いた時には、見学に来たいという明確な意思表示を示されなかったので、私としては期待していなかった。
 お会いすると、とても迫力のある女性であった。そして、見学後、入会することを決心された。その時、彼女は尋ねた。
 「あのー、声調ってどうやって勉強すればいいですか?」
 私はすかさず答えた。「あら、あなたは中国の方でしょ? 声調、声調というふうに考えて、中国語を喋ってますか? 違うでしょ? あなたなら出来ます。自然体で勉強するのが一番」
 1週間後の1月16日、彼女は正式に入会し、そして、楽しそうに勉強された。
 「私はズバズバ、ものを言います。大丈夫ですか?」と、私。
 「わたし、そのほうが好きです」と、彼女。
 今年最初の入会者となった中国人女性。これからも仲良くしていきたい。

溌剌見学者

「タイ語入門」の無料体験講座をメールで申し込まれたご夫妻がいらしたので、ご希望に沿うべく、昨日、彼らに対して特別に開講した。
 私はてっきり中年のご夫妻がお見えになるものと思っていたが、実際は若いお二人であった。駐在が決まったからタイ語を習うのであろうと勝手に想像していたが、これまた、はずれた。
 「今年の秋くらいにバンコクへ行って、仕事を探します。転職します」と、御主人。
 「ああ、そうですか。仕事ならいくらでも有りますよ」と、私。
 御主人はもうすでに5~6回、バンコクへ行き、感覚も空気もご存知であった。奥さんはこの正月に初めて行かれたそうだが、タイでやっていける自信を示された。
 それなら、これから半年間、タイ語をみっちり勉強されて、バンコクへ行くに限る。彼らの夢はすでにバンコクに飛んでいた。溌剌たる若い日本人カップルにお会いしたのは久々だ。是非とも彼らにタイ語を教えたい。

電車の中のベトナム人

 昨日、地下鉄に飛び乗ると、たまたま一つだけ席が空いていた。すかさず座った。ところが、隣りの男が携帯電話をかけていて、とてもうるさい。日本人ではない。アジアの人だ。
 タイ語ではない。ラオス語でもカンボジア語でもない。インドネシア語でもないのはわかる。もちろん絶対に中国語ではない。
 しかし、うるさい。マナー違反だ。電話が終わったら、話しかけてみようと、私は待ち構えていた。やっと終わったが、今度はラインを送っている模様。
 「失礼ですが、あなたはどちらのお国の方ですか?」と尋ねた。私には彼がベトナム人であることはほぼ分かっていた。
 「ベトナム」と彼は答えた。そこで、「シンチャオ」と挨拶し、「ハノイから? ホーチミンから?」と訊いた。彼は「ハノイ」と言った。
 私は彼に対して、電車の中の電話はだめとは言わなかったが、いろいろと話しかけたので、そのうち、彼は電話するのをやめた。私の手段は成功した。
 余談だが、最近は、ベトナム人の犯罪がものすごく増えているらしい。困ったものだ。

元生徒達のビックリ

昨晩、「タイ語初級 木曜日19:00」のクラスに、元生徒2名が復帰された。
 ミスターAは、泰日文化倶楽部に初めていらしたのが2001年。最初はプライベート・レッスンから始め、やがてグループ・レッスンへ移籍。2005年頃まで勉強されたそうだ。したがって、約10年ぶりの再会であった。
 彼が何よりも感心したことは、私が全く変わっていなかったことである。そして、27年以上、同じ受講料でタイ語教室を営々と継続させていることに、とても不思議そうな表情を見せた。
 もう一人の女性は、ミセスH。彼女が最初に私とタイ語を勉強した年を尋ねてみると、「1992年です!」という返事。これには、私のほうがビックリ。
 そして、彼女も驚きを見せた。「吉川先生は昔と全くお変わりありませんね。何よりも声量がすばらしい。授業中の指摘の仕方も以前と同じ。あっというまに当時の授業風景が思い浮かんで来ました!」
 二人の元生徒に会えて、今年のビッグ・サプライズとなった。

泰日文化倶楽部の1週間

泰日文化倶楽部の今年の授業は1月7日からスタートした。昨日でちょうど1週間。すなわち、すべての授業が一周し、生徒の皆さんとお目にかかれることができた。
 生徒さん達の表情には気負いが無く、淡々としておられた。願わくば、教室の中においてはタイ人講師に向かって大いにタイ語で話しかけてほしい。
 そうそう、今、すべての生徒と言ったばかりだが、月曜日は「成人の日」で祭日であったので、授業はお休みであった。月曜日はカレンダー上、休みが多すぎるので、勉強にならない。だが、月曜日の生徒達はそれでいいと言うものだから、のんびりしたものである。
 火曜日は午前10時半から午後8時半まで、5クラスが実施されているが、それぞれのクラスはそれぞれに特徴が有るので、合同にすることはできない。
 水曜日は午前11時から午後9時半まで5クラス、木曜日は午後1時から午後8時半まで4クラス、金曜日は夜2クラス、土曜日は午前10時半から午後4時半まで7クラス、そして、日曜日は2クラスが実施されている。
 私は自分を管制塔だと思っている。そして、交通整理係でもある。皆さんの要望、苦情を一手に聞いて、早期の対処に心を砕く。結構、疲れるものであるが、逆に、喜びでもある。

タイ人 と かっぱ橋

年末年始に我が家に泊まっていたタイ人の旦那さんに、東京で何を買ったのかを尋ねてみると、「かっぱ橋に行って、長方形のたまご焼き器を買いました。息子が好きなので、毎朝、たまご焼きを作ってあげようと思っています」と、答えてくれた。
 外国人がかっぱ橋に興味を示しているのは、かなり以前から聞いていたが、タイ人も好きだったのだ。タイのたまご焼きは丸いシナ鍋にものすごくたくさんの油を入れて、溶き卵を放り込んでいるが、まるで油焼きって感じがしていた。8歳の少年が日本のたまご焼きを知っているということは、何度も日本に来ているので好きになったのかもしれない。
 タイ人女流作家はバンコクでカフェを経営しているとのことで、スチール製のコーヒー・カップを購入していた。
 「カフェにお客さん、たくさん来てますか?」と尋ねると、彼女は言った。
 「開店当初は私がやっていましたが、創作に集中するために、今は弟にやらせています」
 それを聞いて、タイ人って、マイペースでいいなあと思った。