東京から地方へ

 昨日、大学では期末試験をした。学生達は黙々と回答用紙にペンを走らせている。窓の外に目をやると、遠くに富士山が見えた。これまで学生の方ばかり見て授業をしていたので、富士山には全く気がつかなかった。
 ところで、試験後、多くの学生達との別れが有った。今春、社会人になる学生達。時々、タイ語の授業を思い出してほしいと願いつつ、「โชคดีนะคะ 幸運を祈ります!」と、私は一人一人に声をかけた。
 学生の中に、香港から来た学生がいた。彼は将来、言語学者を目指しているだけあって、多言語を完璧に操る。どうすればそのような能力が身につくのか、いつも不思議でならなかった。
 彼は研究の場所をドイツに移そうとしているが、昨日、耳にしたところでは、しばらく日本の地方へ行って、広東語を教えることになったようである。
 それを聞いて、東京に住んでいるすばらしい逸材は、地方の要請を受けて、地方で活躍することはすばらしいと思った。 
 私も来月、一日だけ、タイ語の出張講義に行くことになっている。地方から東京に来るのは何かと費用がかさむ。数人の学生達が東京に来るよりも、一人の講師が出張するほうが経費的にも安上がりだ。新しい出会いで、互いに気持ちいい刺激が得られれば面白いと思う。