鋳物師(いもじ)の町

金沢からどこにも寄らずに帰京するのはもったいないと思い、在来線(石川鉄道線)に乗って高岡市へ行った。目下、JRのコマーシャルで、吉永小百合さんが高岡市金屋町のお店からのれんを押して出て来る映像が繰り返し流されており、それがインプットされていたことは否めない。だが、この決断はとてもよかった。
 富山県高岡市は日本一の銅器(銅合金鋳物)の産地であり、4百年も綿々と続いているそうだ。鋳物師と書いて、「いもじ」と読むとのこと。
 最初に、金屋町の鐵瓶屋に入った。茶道で使う茶釜や鉄瓶がずらりと並んでいる。いずれの品々も精緻で、歴史を感じた。じっと見ていると、江戸時代の鋳物師の頭に見えてきた。暑さ寒さに関係なく、一年中、そして、己の一生を鑿とともに渾身の鐵瓶を造り上げた精神に心打たれた。

白川郷とタイ人

10月15日、金沢駅から観光バスに乗って白川郷へ行った。白山白川郷ホワイトロードを通って行ったので、現地に着いたのは11時45分。現地での観光時間は昼食も含めて、わずかに1時間半。展望台へ行くミニバスは超満員。したがって、乗るのはあきらめた。
 さてどうしようかと思っていたら、タイ語が聞こえて来た。7名くらいの若いタイ女性がコスモスの写真を撮り合っている。タイは目下、休みが取りやすい時期だ。大勢のタイ人が日本に来ているから、人気の白川郷にタイ人がいるのは納得。
 トイレにタイ語で併記されていた。女性専用トイレ ห้องน้ำเฉพาะสำหรับสุภาพสตรี
そして、駐車場にもタイ語が書かれていた。 ที่จอดรถนี้ปิดเวลา17:00 กรุณานำรถออกก่อนเวลาปิด

金沢とタイ人

東京から金沢まで新幹線でたったの2時間28分。大宮、長野、そして、富山しか停車しなかった。これでは日帰り出張も可能だ。石川県の高校生が関西をやめて、東京に進学して来る理由がよくわかった。
 金沢駅は観光客でごった返していた。人混みに酔った。駅前のホテルで3時間ほど仮眠をして、その後、夕食に出た。
 信号待ちをしていると、背後からタイ語が聞こえて来た。さっそく、話しかけた。
 「タイのどこからいらしたの? 金沢は初めて?」
 すると、娘さんがテキパキと答えた。「バンコクからよ。日本には2度来たことがありますが、金沢は初めて」
 彼女は両親を帯同していた。両親は無口であったが、我々は合掌(ไหว้)をして別れた。この間、わずかに15秒。
 信号を渡り、私は親戚と待ち合わせをしている鮨屋へ向かった。彼らも全く同じ方向へ。どうやら金沢の魚を満喫しようとしているらしかった。

金沢へ出かけます!

来日中の兄嫁(พี่สะใภ้)、姪(หลานสาว)、そして甥(หลานชาย)と一緒に、今日から2泊3日で金沢へ行く。金沢には3回行ったことがあるので、だいたいのところは観ている。楽しみは料理と和菓子。
 北陸新幹線に乗るのは初めて。東京から2時間半で行けるとは! 便利過ぎて、拍子抜けがしそうだ。昔、糸魚川近くの海岸線を車窓から眺めたのが懐かしい。
 帰京は16日(夜)。したがって、明日(พรุ่งนี้)と明後日(มะรืนนี้)のブログは休筆とする。

変な英語表記

昨日、アメリカからやって来る甥を迎えに新宿バスタへ行った。3日前にすでに到着している兄嫁と姪も一緒である。羽田からのリムジンバスが到着する3階で待っていると、姪が言った。「英語表記が変ね」
 役に立たない英語表記の実例は以下の通りである。
1)ここはバス専用降車場です。This is a bus exit for the bus.
2) ガラス戸外のエスカレーターで下りてください。Get off the there escalator.
3) ここは3Fです。Here on the third floor.
 姪の指摘を受けて私ははたと思った。日本人の英訳はあまりにも直訳すぎる、と。このような英語表記のボードを作成する場合、欧米人のチェックが絶対に必要だ。
 そしてさらに思った。日本人の我々は単に英語が併記されているくらいにしか思わず、たいして関心を持たない。だが、「おもてなしの国 日本」に着いたばかりの外国人には、意味をなさない英語表記を見て、首をかしげるばかりである。

บวชชี & ปวดฉี่

昨晩、「タイ語上級 木曜日18:30」のクラスに久々に行ってみた。このクラスは先月までは19:00スタートであったが、都合により30分切り上げて、18:30スタートに変更している。
 女性の生徒さんがタイのデザートである「กล้วยบวชชี」のことを話題にしていた。すると男性の生徒さんが、บวชชี(buat 低声+chii 平声)を、ปวดฉี่(puat低声+chii低声)と発音した。前者の意味は「尼僧になる」、そして、後者は「尿意をもよおす」という意味である。
 私はすかさず彼に向かって声調の間違いを注意してあげた。何故ならば彼はいつも声調の違いがわからないとぼやいているからだ。発音矯正はその場ですかさず徹底させるのが一番。
 そしてもう一点。บวช(buat)の「บ」と、ปวด(puat)の「ป」の違いを聞き分けることが、日本人にとっては難しいことがわかった。授業の現場は、思わぬ発見が有って面白い。

喝!

昨日、世田谷区の野沢龍雲寺で取り行われた昔の茶道講師(104歳8ヶ月)の告別式に参列した。野沢龍雲寺は臨済宗妙心寺派。山門を通って境内に入ると、シーンとしていた。さすが禅宗の寺だ。
 葬儀は境内の奥にある家屋みたいなところで行われた。非常にこじんまりとしていた。最近はやりの葬式業者が開設しているセレモニーホールとは逆を行く空気感。凛として、静謐そのもの。
 読経の最後に、導師が「喝!」と言った。これは死者を送る最後の言葉。「喝!」で故人は天国へと旅立つ。
 今朝、あらためて、「喝」の漢字をネットで調べてみた。
 1. 相手を制止するため、大声でどなる。例:喝破、一喝、大喝
 2. やんやと声をかける。例:喝采
 3.おどす。例:威喝、恐喝、恫喝
 聞くところによると、茶道講師は半年前まで弟子に指導をしておられたそうだ。弟子が生きがい。弟子よ、「喝!」

火水木金土&日月

茶道の世界を取り上げた映画『日々是好日』が好評だ。原作者の森下典子氏によれば、「茶道は火(ไฟ)、水(น้ำ)、木(=木炭ถ่าน)、金(=金属製の釜หม้อโลหะ)、土(=陶器เครื่องปั้นดิน)を使い、あとは、お日さま(พระอาทิตย์)とお月さま(พระจันทร์)があればいい」という考えを示しておられる。なるほど、なるほど。
 同じく森下氏によると、茶道講師を演じた樹木希林は一度も茶道を習ったことがないが、森下氏が指導するとすぐにできるようになったそうである。その訳を樹木希林に尋ねると、「演じることができるからよ」と答えたとのこと。
 今日は40年前に柿の木坂の茶道教室(幽玄庵)で薫陶を受けた大先生の告別式に参列する。享年104歳。大往生である。いつもゆったりとした構え方が今でも脳裏に残っている。

マイペースで勉強しよう!

今朝の天気予報(พยากรณ์อากาศ)で、「台風はもう来ません」と、気象予報士が力強く言った。それを聞いただけどほっとした。10月中旬になってこんな気持ちになるのは生まれて初めてである。あとは地震と火山噴火だ。いつどこで発生するかはわからない。
 ところで、やっと秋が来た。例年よりも温度は高めだが、そろそろ勉強に身を入れたい。自然災害にふりまわされて終わる人生はいやだ。時間を上手に使って、マイペースでこつこつ勉強しよう。
 語学の勉強は場所を選ばない。どこででもできる。電車の中でもトイレの中でもできる。一日につき、2時間、勉強すれば、一年で730時間になる。一年半、頑張れば、1千時間を超える。これは貯金以上の財産(ทรัพย์สมบัติ)だ。
 さあ、今日から勉強時間数を記録して、自分の持続力を測ってみよう。

似通ったタイ語の発音

タイ語はいずれの単語も発音が難しい。今日は、日本人にとって似通った発音であると思われる単語、すなわち、(1)เดือน、 (2)ด่วน、 (3)ดวง の3語を取り上げる。
 以下に、3語と組み合わされた単語を列挙するので、それらの意味を書き、声に出して読む練習をしよう。
(1)หนึ่งเดือน ครึ่งเดือน เงินเดือน เดือนตุลาคม เดือนเต็ม
(2)จดหมายด่วน รถด่วน ธุระด่วน โดยด่วน รับสมัครด่วน
(3)ดวงขึ้น ดวงจิต ดวงจันท์ ดวงวิญญาณ ดูดวง