金沢とタイ人

東京から金沢まで新幹線でたったの2時間28分。大宮、長野、そして、富山しか停車しなかった。これでは日帰り出張も可能だ。石川県の高校生が関西をやめて、東京に進学して来る理由がよくわかった。
 金沢駅は観光客でごった返していた。人混みに酔った。駅前のホテルで3時間ほど仮眠をして、その後、夕食に出た。
 信号待ちをしていると、背後からタイ語が聞こえて来た。さっそく、話しかけた。
 「タイのどこからいらしたの? 金沢は初めて?」
 すると、娘さんがテキパキと答えた。「バンコクからよ。日本には2度来たことがありますが、金沢は初めて」
 彼女は両親を帯同していた。両親は無口であったが、我々は合掌(ไหว้)をして別れた。この間、わずかに15秒。
 信号を渡り、私は親戚と待ち合わせをしている鮨屋へ向かった。彼らも全く同じ方向へ。どうやら金沢の魚を満喫しようとしているらしかった。