あくせく働かない

昨日、個人レッスンを受講されている奥様にタイ語を教えた。3月にタイへ行かれるので、ものすごく頑張って勉強しておられるのがよくわかった。
 彼女は年末年始に初めてタイへ行き、バンコクの活気を肌で感じて来られたようだ。いろいろ話を聞いていると、御主人が住んでおられるマンションは、オール日本人なので、そこだけは日本の生活と全く変わりがなかったとのこと。
 「マンションの玄関先にシーロー(四輪車)が待っているので、近くへ行くのはとても便利ですが、運転手さんは午後になると、もう働かないのかしら?」
 私は答えた。「おそらく借りている車でしょうから、午後2時を過ぎると、会社に返しに行くんだと思いますよ」
 あくせく働くことはせず、マイペースで働くタイ人の生活スタイル。これからタイへ行って住む奥様には不思議に思われたようだ。

一枚のレシピ

1月12日19時半から30分間、放映されたNHK番組の正式なタイトルは忘れたが、たしか「一枚のレシピ」に近かったように思う。
 夜7時のニュースが終わってすぐ、池袋の街が画面にあらわれた。一体、どんな内容かと興味を持って見ると、それは、奥さんが病死したため閉店していたパン屋さんを、御主人が仲間の励ましを受けて、再び再開したものであった。奥さんの書き残した「一枚のレシピ」には、「絶対にパンを焼いてください」と書いてあったそうだ。
 奥さんはパンを焼いては、池袋のホームレスの人達に配っていたことをこの番組で初めて知った。ご自分の行為を御主人に託したのだ、「一枚のレシピ」を残すことで。
 遺影の中の奥さんは本当に清く、美しかった。そして、御主人の表情も優しい。
 たった一枚の紙だけれど、とても意味がある一枚だ。奥さんの意思は今後につながった。御主人と仲間の和を通して……。

おだやかな滑り出し

泰日文化倶楽部は1月6日(火曜日)から授業をスタートしたので、昨日から第2週目に入った。諸事情でおやめになった方達が8名。しかし、復帰された方、及び、新しく入会された方が計7名なので、生徒数でいえば、去年12月と大差がない。
 この一週間、生徒達の表情を見ていると、おだやかな様子が感じられ安心した。特に、中年の方々の雰囲気がいい。気負いがなくて、おだやかな滑り出しが感じられる。
 語学の勉強には根気がいる。「頑張ります!」といくら宣言しても、それが早い段階で頓挫しては何にもならない。
 面白くても面白くなくても持続が肝心。生きていくための糧。そのように思って、毎日、少しずつ前進することだ。

三色のヒヤシンス

花屋の店先に、ヒヤシンスの球根がたくさん売られていた。ひとつの鉢に球根が3個ずつ。一色だけの鉢もあれば、三色の花が咲く鉢もあった。
 私は三色(赤・白・青)の球根鉢を買った。何故ならば、これらの三色はフランスの国旗に通じるからだ。
 今年も年初から大きなニュースがパリから発信された。そして、フランス全土で行われた「言論の自由」を求めるデモの参加者が360万人….。
 私はパリに2回、行ったことがあるが、街歩きをしていて印象に残ったことは、旧い建物(図書館として使われている)の正面の上部に、「自由」、「平等」、「友愛」と書いてあったことである。
 買って来たヒヤシンスはいつ咲くかわからないが、三色ともそろって咲いてほしい。

パクチー・バル 8889

高田馬場に面白い喫茶店ができた。名前は「パクチー・バル 8889」。
 一昨日、思い切って入ってみた。何故ならば、そこは、土・日・祭日に限って、フクロウにさわることができ、写真も撮らせてくれるからだ。
 店の外から見えるケージには数羽のフクロウがとまっているが、あまりにもおとなしいので、バード・カービングかと思ったほどだ。
 中に入ると、すでにフクロウを自分の指にとまらせて鑑賞している女性達が4人いた。親子で来ているケースもあった。
 店名にパクチーと書いてあるから、普段はパクチー専門の料理を出すようだ。店の人に訊くと、「88」は馬場を表わし、「89」はパクチーを表わしているとのこと。
 フクロウは、<不苦労>に通じる縁起のいい鳥だから、私も1時間、自分の目の前に置いて、じっと眺めた。

女の子の名前と画数

今日は成人式の日。私が教えている大学生の中にも、20歳を迎えた学生が数人いる。
 先週、出席を取っている時、女子学生達に尋ねてみた。
 「あなたのお名前がつけられた由来は何ですか?」
 すると、ほとんどの学生がこう答えた。「画数で決めたそうです」
 それを聞いて、私はすかさず言った。「名字と合うように、ご両親が考えてつけてくださったかもしれませんが、結婚すれば、新しい名字になるわけだから、そうすると、画数がおかしくなるのではありませんか?」
 女子学生達からの反論は無かった。もし、彼女達が独身を通す選択をすれば、このような問題は吹っ飛ぶ。しかし、彼女達には結婚をして、楽しい家庭を持ってもらいたい。画数なんてどうでもいいことだ。

みどりの窓口

山手線目白駅は、昨年11月中旬以降、みどりの窓口が閉鎖された。切符を買う人は機械で買えということになってしまった。私は駅員さんから対面販売で切符を買うのが大好き人間なので、とても残念でたまらない。
 致し方無く、高田馬場駅のみどりの窓口へ行った。しかし、年末だったから、大勢の人が並んでいる。そこへ、駅員がやって来て、「機械で買ったほうが早いですよ」と、一人一人に勧めていく。私は断固として応じなかった。私は駅員さんから買う切符のほうが好きだから。
 銀行統合が進んで、ATMを使えと仕向けられてきてからもう久しい。そして、それにすっかり馴れてしまった。
 機械化が進むにつれて、言葉がいらなくなる。言葉を使わないということは、人間関係も薄らぐ。人間の表情を見て、そして、会話を交わして生活を営んでいかなければ、人間は言葉に弱くなる一方だ。みんな、もっとしゃべろうではないか。無言の世界は気味が悪い。

今日は「110番の日」

今日は1月10日。「110番の日」である。
 私にはタイ語を勉強した元生徒達が全国にたくさんいるが、その中には東京でタイ語研修を受けた警察官達も含まれている。年賀状を交わしているので、彼らのお子さん達の成長ぶりがよくわかっていい。地方の産物を送ってくださった時には、お返しとして、子供達にクリスマス・プレゼントを送ることにしている。
 年末に御礼の電話が来て、2~3分、しゃべっている時に、「うちの息子、1月10日生まれなんですよ。110番の日に生まれたんですよ」と、聞かされた。それを聞いて、すかさず、私は言った。
 「あらあら、それは珍しいですこと。それじゃあ、息子さんの将来は、もう決まりですね」
 そうは言ったものの、肝心の息子さんの希望は? まだ小さいからわからないであろう。

<出会いぞ命>

 今年は真面目に読書したい。そう思って、高田馬場駅前のビルの中にある芳林堂へ行った。本についている帯はあまり好きではないが、あるコーナーに積み上げられた本には、これまでに見たことがない帯がどの本にも同じように巻かれていた。
 「2014年 冬 ここでしか手に入らないかもしれない岩波の希少本 売り切りで、ごめんなさい」
 このキャッチコピーに誘われて、『由布院に吹く風』(中谷健太郎 岩波書店 2006年)を買った。昨年10月、大分県に結婚式に行ってからというもの、大分県のことをもっと知りたく思っていたからである。
 由布院とくれば温泉、そのイメージしかなかったが、この本は由布院の地域づくりに尽力し、音楽祭、映画祭、牛喰い絶叫大会、郷土料理開発などを実践してこられた中谷健太郎氏の本音が詰まっていた。いくつかの町を合併させて市にするという一方的な行政のやり方の弊害がよくわかった。中谷氏は言う。
 「<出会いぞ命>ですよ。場所と人とが出会えば、人生が始まる。<境遇>ってそういうことでしょう、だから境遇は変わる、運命も変えられます」
 今年、高田馬場4丁目の泰日文化倶楽部に、どうか楽しい、そして、運命を変えるような出会いが有りますように!

御用聞き

メールの時代に入ってから、もうかなりになる。今や、主流はLINEだ。便利でいいのだが、65歳以上の高齢者が若者と同じ乗りで、手短に連絡することにいささか違和感を覚える。何よりも言葉の使い方がぞんざいになっていくのがいやだ。しかし、年下の人達は、少しでも短い文章を好むらしい。
 最近は、全く電話をかけなくなった。相手の声を聞くことはいいことだと思うのだが、相手が無駄話をいやがるかと思うと、あえて電話をしない。
 先週、大学生達に「御用聞きって言葉を知ってますか?」と尋ねると、誰からも全く反応が無かった。現代においては、インターネットで注文することができる。もう御用聞きという言葉は死語になってしまったのであろうか。
 感じのいい人、言葉づかいがきれいな人、腰が低い人が注文取りに来ると、何か頼みたくなるのが人間の常というもの。ましてや、ハンサムな若者が明るい声でやって来ると、商家の奥様なんかは、つい余計に注文したくなったものだ。しかし、マンション暮らしになり、かつ、生協とかコープとかの業者が出て来てからは、すべて電子注文と化し、人間的な交流が消滅した感が否めない。