50年前の家計調査

『若者が主役だったころ わが六十年代』(色川大吉著 岩波書店 2008年)という本を買った。タイトルが魅力的であったからだ。
 私は1965年に上京した。50年前の今頃は大学受験で緊張していた。1965年から1969年の4年間、武蔵野の雰囲気が残っているきわめて恵まれた環境の中でノンポリのまま大学生活を送ったから、大学紛争の運動にも参加しなかった。この本を読んで、他の方達にとって1960年代がいかに大変であったかが読み取れた。
 ところで、1965年の家計調査(経済企画庁)のことが書かれた箇所があったので、引用すると、こうである。
 独身の勤労者は、平均月収=2万3200円、貯金は13万3200円、1ヶ月のレジャー代が3000円、身の回りの買物は5800円。
 私が覚えているのは、国電の初乗りが10円、バス代が15円であった。コーヒー代は30円。学費は年間7万円、寮費は1ヶ月3000円であった。
 現代の物価と比較すると、13倍くらいになっている。しかし、月収は10倍程度にしかなっていない。