絶版本

 一昨日、南池袋に在る古本屋へ行った。読みたい作家の本が有るや否や? 探したがみつからなかった。すごすごと店をあとにするのは悔しいので、スマホで作家名を検索し、それを店主に見せながら尋ねた。「この作家の本、有りますか?」
 店主は言った。「棚に無ければ無いということですね」
 しかし、そこはやはり店主だ。自ら棚へ行って、一冊探し出してくれた。セロファン紙に包み、誰も開けてはいけないように保護されている。道理で見つからないはずだ。定価2,200円が3,500円の売値になっていた。
 店主にずけずけと言った。「どうして高いのですか?」 店主曰く、「絶版本だからですよ」
 それを聞いて納得。買うか買わないか迷ったが、絶版という響きに気圧されて購入。「さあ、しっかりと読みこなすぞ!」、と自分に気合を入れた。