三猿

 三猿と言えば日光の猿が有名だ。私の書棚にも誰かから頂いた三猿を飾っている。ところが昨日、そのガラス入りの書棚を見ると、三猿が二猿になっていた。残っていた猿は、「見ざる、聞かざる」。消えた猿は「言わざる」。
 私の仕事は声に出して大いに話すことだから、「言わざる」が遠慮してどこかに消えたようである。御主人思いの猿だ。
 「見ざる、聞かざる、言わざる」は人間関係をスムーズにするための昔の人の知恵。しかし、情報手段がこれだけ飛躍的に発達した21世紀に於いては、三猿はもう通用しない。否が応でも情報が飛び込んで来るからだ。
 時には、「見る、聞く、言う」で対抗しよう。それには日本語と外国語の両方のレベルアップが必須である。