勝海舟とオランダ語

『明治という国家』(司馬遼太郎 日本放送出版協会 1989)の中に、勝海舟がオランダ語を学んだくだりが出てくる。要約して抜粋してみよう。

1.江戸末期に、勝海舟は江戸でオランダ語を学んだ。「当時の少年勝麟太郎にとって、オランダ語は出世の手づるだったかもしれません。階級が上昇するためのバネになるものだと思っていたかもしれません」

2.オランダから海軍教師団が来た時(1857年)、彼は「教務主任のような職を兼ねました。これが勝を歴史の上に押しあげるバネになっていくのです」

3.教師の回想録によると、「勝はオランダ語を非常によく解し、そして聡明な人間であり、さらには、≪真の革新派の闘志≫というように非常に強い言葉でほめています」

 勝のオランダ語に対する食らいつき方がよくわかる逸話である。外国語の勉強段階に於いて、《バネ》は肝要だ。