手仕事

昨日、古本屋で『布への祈り』(森南海子著 三五館 2010年)を購入した。服飾デザイナーである森南海子さんの文章は、彼女の布に対する信条が縷々綴られており、古き良き時代に導かれた感じがする。

 まえがきより引用:
 私は「ほころび」をそっと縫う手仕事の、あの恥じらいのこもった行ないを好む。目立たせないようにと針を運ぶ、しかしなんともしたたかさを宿す針目に強く惹かれて生きてきた。ほころびをいま繕う人はまずないはずである。シャツもエプロンも靴下も下着も使い捨てになった。だから破れもほころびも手直しなんか誰もしない。<中略>
 うつむいて針を静かに運ぶ”時″を失った。縫い物好きはみんな寡黙で、静かに手を動かす。針先に糸を通じての思いを託す。私は、この風景の中に育った。幼い者も老いた者も、手先から自分を見つめた。いまその行ないを失った。

 語学の勉強も手仕事と類似している。不足部分を補強しながら、小さな成果によろこびを見出そう!