雨に濡れる仏頭

昨日のブログで、クラシック音楽を聴かせてくれる喫茶店のことを書いたが、その店は小さなビルの3階に在る。マスターはブラームス作曲の『雨の音』のレコードをかけてくれた。
 3階の窓から道路を隔てた斜向かいにビルの屋上が見えた。その屋上は普通の屋上ではなかった。首から上だけの仏頭が斜めになって、亀の置物の上に無造作に立てかけられていたからである。私はぎょっとした。かわいそうに、仏頭は雨に濡れている。
 しかし、そのビルの1階が骨董品屋であることを思い出した。ガラスのショーケースの中に入っている仏像なら、その店の前を通りかかるたびに見ている。だが、そんなに大きな仏頭がその店に有るとは知らなかった。
 おそらく売れなかったのであろう。屋上にころがされている感じ。だが、西の方向を向いているから、いつも西方浄土の境地で、案外、仏頭自身は満足しているのかもしれない。