貸し傘

昨日、東京の天気予報を見た時、夜の10時頃から雨が降ることになっていたので傘を持たずに外出した。しかし、3時過ぎから降り出した。雨宿りのためにクラッシク音楽を聞かせる店に寄ることにした。
 入って見て驚いた。男性が3名、個別に座り、レコードの音色に聞きほれていたからである。そこへ一人の女性が現れ、私の横に座った。彼女の顔はとても明るく輝いていた。私が窓を見ながら空模様を気にしていると、彼女が話かけてきた。
 「傘、お持ちじゃないの? では、マスターに借りなさいよ。その傘、私が寄付したものだから、マスターに頼んでみますよ」
 彼女の話し方がきびきびしているので、何かやっておられるはずだと思い、思い切って尋ねてみると、合唱をやっておられるとのこと。どうりで目も輝いていたわけだ。
 私は傘を借りて帰った。そして、家に着くや否や、その傘をきれいに拭き、そして、たくさんあるビニール傘の中から1本を取り出し、すぐに返却に行った。マスターにはこう言った。
 「傘が無いお客さまのために、私の傘もお使いください」
 小テスト:1)傘を借りる2)傘をさす3)傘を閉じる4)傘が壊れる5)傘2本