更紗文様

古本屋で買って来た『きもの文様事典』(本吉春三郎著 婦人画報社 昭和54年)をパラパラとめくっていると、<更紗文様>という説明に目が止まった。
 「更紗は室町時代から桃山時代、江戸初期にかけて南蛮船で舶載された、木綿を主とする南方諸国の色彩的な染物(インド更紗、ペルシア更紗、ジャワ更紗、シャム更紗)をいう。モチーフは、人物、鳥獣、花卉、蝶、虫などが、それぞれの産地のローカルカラーで特色づけられている。佐羅紗、皿紗、華布、印華布などの字をあてる。語源はインド西海岸のスラートという古い港町からでたといわれる」
 長い引用になったが、更紗文様が南蛮船によって日本にもたらされ、そして、自然を愛してやまない日本人に素直に受け入れられたことが興味深い。これから先、人的交流によって、いかなる文化が日本にどのように取り入れられ、かつ、定着して行くか…..。それには百年以上を要するであろう。