王宮前広場へ(16)

今回、お世話になった弁護士のニタット先生は泰日文化倶楽部の初期の頃の講師である。食事をしている時に日本に留学していた当時のことが話題になった。
 「僕は平成元年に慶応大学大学院に留学しました。先輩達は昭和の時代の学生、僕は新しい元号である平成の学生。昭和派と平成派に分かれて面白かったです」
 「あと1年余で日本は新しい元号になります。平成派だって、もうすぐ古株になりますよ」と、私は彼を茶化した。
 ニタット先生はチュラロンコン大学法学部を総代で卒業され、大学院修士課程も同じくチュラ大を卒業されたから、ラーマ9世から二度にわたり、直接、卒業証書と学位記を頂いたそうだ。日本での留学後、アメリカへ行って博士号を取得。そして、帰国後はずっと弁護士をやっておられる。
 とても忙しい時間を過ごして来られた先生に質問した。「出家されたことはありますか?」、と。すると、ラーマ9世が出家され、かつ、御遺灰を安置されているボーウォーンニウェート寺院で出家されたことがあるとのこと、そして、出家をしたのは、ラーマ9世の御姉君がお亡くなりになられた際、その御姉君のために剃髪されたと答えてくださった。