母心

昨晩、知人御夫妻が我が家に泊まった。奥さんであるH子さんは双子の姉で、妹のM子さんも一緒に泊めてと頼まれていたので二つ返事でOKを出した。そして、我々4人は午前1時まで(ถึงตี๑)大いに語り合った。M子さんが次なる話をして聞かせてくれた。
 「息子は今年3月、上智大学博士課程を卒業しました。息子は来なくてもいいよと言っていたのですが、どうしても行きたくて、こっそり会場に行きました。すると、息子が総代として答辞を読んだんです! もうびっくり。そして、上智大学新聞を読むと、今年の退職者の中に、吉川先生のお名前を見つけました」
 彼女の話を聞きながら、立派に育った息子の晴れ姿を見て、その日が彼女自身にとっても「母親の卒業式」となったわけである。
 思いがけずも素敵な話を聞きながら、大学の教職から去って早くも半年になる自分を静かにふり返った。