青森旅情(18)

「八戸へ行くなら番屋という店がお勧めです。私は3年連続で行ってます」というメールを元生徒から受け取ったので、早速、行ってみた。ただし、日本の居酒屋ファンには有名すぎるくらい有名な店らしく、果たして一見の者が入れるか否か心配であった。開店30分前から店の周辺をうろうろし、6時開店とともに入店。私は2番目。
 1番目の男性客と私の間に女性がするりと座ったので、カウンター席は次第に埋まっていった。私が牡丹海老を食べ終わると、女将が「頭はどうしますか? 焼きますか?」と聞いてきたので、「かたいですか? かたいのであれば要りません」と私。すると、1番目の男性と隣りの女性が口をそろえて「もったいない」と言った。そこで焼いてもらうことにして、3つの海老の頭を二人におすそわけした。二人とも東京から番屋をめがけてやって来ている居酒屋通であった。
 女将はとても気品のある方とお見受けした。あとで知ったのだが、ここのオーナーは詩人だそうだ。