見ざる 聞かざる

70歳になって思うこと、それはガラクタの片付けをしておかなければならないということだ。断捨離に関する本は10冊ばかり買い込んでいる。これも捨てて行かないと本棚のスペースが足りない。
 そして、何が入っているのかわからない段ボールがいっぱいなのも問題だ。これらも一つ一つ中身を点検しながら根気よく減らしていかないと….。
 そう思って段ボールを動かし始めると、「見ざる言わざる聞かざる」の置物が段ボールと段ボールの間に落ちていた。しかし、よく見ると、猿が一匹いない。「見ざる聞かざる」だけで、「言わざる」がいない。
 怪訝に思いながらも、私はすかさず発想を変えた。「語学の先生だから、言わざるでは商売にならない」、と。だが、さらに言えば、語学の上達のコツは、よく見て考え、そして、しっかりとたくさん聞くことも大切である。よって、私には、日光の三猿は関係ない。