哀悼のタイ王国(23)

無事に記帳を終え、記念写真を撮ったところで、喉の渇きを覚えた。そうだ、ボランティアの皆さんからもらった栄養ドリンクを飲もう。そう思って、カバンの中から取り出そうとすると、カバンの中に入れておいたタオル製のハンカチ2枚が濡れていた。変だなあと思って、ドリンク剤のビンを取り出すと、なんと蓋が開いていた。彼らは蓋をひねり、開けたままの状態で手渡ししてくれたことがわかった。これぞ過剰なる親切? 
 しかし、私は腹を立てなかった。タイに来たら、腹を立てないことにしているからだ。チャオプラヤー河の船の中で大波を受けてびしょ濡れになった全身はいつしか乾いていた。その代わりに、私のカバンの中が水びたし…..。
 王宮前広場に行くと、国王のお写真をかかげた大きなパネルが設置されていた。花束の山である。花売りの男が私のそばにすかさず寄って来た。一束40バーツ。私はその花を買った。そして、青空の下で、再び、国王を思った。
 王宮前広場は、翌日(10月22日土曜日)、タイ国民が集まって国王讃歌を歌うためのステージが作られようとしていた。