哀悼のタイ王国(16)

久しぶりに船に乗ったが、チャオプラヤー河は満ち満ちていた。途中の船着き場はどこも黒服のタイ人であふれかえっていた。船にのりきれるはずがないから、皆、ただ待つだけの様子だ。
 船に乗っている間、私は10年前に挙行されたプミポン国王在位60周年を祝う御座船行列を実際に見た時のことを思い出した。歴史的絵巻物語は、私の脳裏にしっかりとおさまっている。
 ターチャーン船着き場に着くと、皆、土産物屋のトイレへと向かった。トイレ使用料は一人5バーツ。一日男女合わせて2千人は使用する勢いだ。2千人x5バーツ=1万バーツ(約3万円)。1ヶ月で90万円ものお金が転がり込んでくる….。店先に、置物ではなくて、本物の猫がいた。その猫も黒。毛がつやつやしていた。猫も喪に服していた。