20年ぶりの再会

今回の旅行は佐渡の薪能を鑑賞することが第一の目的であった。だが、私にとっては、新潟在住の元教え子に会うのも同等の楽しみであり、東京を出るときから、ものすごく期待していた。
 佐渡汽船の新潟港に迎えに来てくださっていた元生徒はすぐにわかった。第一印象は、ものすごくおだやかな顔をしておられたことだ。東京でのタイ語研修がいかにきつかったか、ふと、思わず比較してしまった。
 新潟市内を車で案内中、彼はこう言った。
 「先生に教えていただいている時、先生は丁度50歳でした。今、私は50歳。先生のあの時の年齢に達しました」
 彼とは20年ぶりの再会であった。20年という歳月は、あっというまに過ぎ去ってしまった。