松かさの香合

先月から茶道教室に入会し、精神統一をはかっている。先週の日曜日(6日)、床の間には般若心経と仏が描かれた掛け軸、松かさの香合、そして、菜の花が飾られていた。
 茶道講師は静かに語られた。「掛け軸の般若心経は父親が書きました。仏画は母親が描いたものです。松かさは陸前高田の松を想って飾りました。今日は震災と津波で亡くなられた方達を偲びましょうね」
 その後、皆で食事をした時、講師は動揺することなくおっしゃられた。
 「2日に母が亡くなりました。94歳でした」
 それを聞いて、お母様が描かれた仏さまがとても神々しく思われた。
 生あるものはいつか……。死をうけとめ、前を見つめる。その繰り返しが人を強くする。