バンコクぶらぶら(10)

トンブリの辺鄙なところにあるバンコク銀行バンイーカン支店で用事を済ませた後、帰りもタクシーを拾った。来る時に乗ったタクシーは昔風の旧型で、運転手も老人。ところが、帰りのタクシーは新車で、運転手も精悍だ。これはラッキーと思って、サートン・タイまで行くように告げた。
 ところが、このタクシーでひどい目にあった。若い運転手だから、スマホのラインをしまくりである。1分ごとに、「ライン」、「ライン」と着信の声がうるさい。
 ラインがやっと終わったかと思うと、今度は誰かと喋りまくっている。なかなか話をやめようとはしない。よくよく聞くと、麻薬の話ばかりしているではないか。「いまに捕まるかも。やばい」とか言っている。タクシーの運転手がヤー・バーに夢中なのは昔からよく聞いているが、今も相変わらずとは…..。
 彼が静かになった時点を見計らって、本人自身のことや家族の話を聞いてみた。彼は39歳。車のローンが重くのしっかかっている。息子は5歳。4時には幼稚園へ迎えに行かなくてはならない。間に合わなければ、おばあちゃんに連絡して、代わりに行ってもらうそうだ。奥さんも働いているが、生活は苦しい。
 ヤー・バーにはまっていてはだめ。外見から判断する限り、立派な男に見えたが、この先、彼の将来は果たしてどうなることやら。