タイ人作家の滞在

年末年始の期間、我が家にタイ人4名が泊まっている。一組のご夫婦と8歳の坊やは去年の4月に来て泊まったことがあるので、もう慣れたものだ。
 今回は奥さんが自分の友達を一人連れて来られた。その友達は作家であり、作詞家だそうだ。それを聞いただけで、私は緊張した。
 彼女は毎朝6時半に私のマンションの周辺を一人で散歩し、写真を撮りまくっている。初来日にして、初正月。明治通りの幹線道路は、普段は24時間、車が走り回っている。ところが、元旦に彼女が撮った写真には車が一台も写っていなかった。
 「東京は静かですね。すばらしい!」
 それを聞いて、私は答えに窮した。本当は車社会なんだけどなあと思いつつ、笑顔を彼女に返した。
 彼女達は今日、タイへ帰る。作家は言った。「東京滞在記を連載することにします」
 あらあら、何を書かれるのかしら? 普段、書く側の立場にいる私は、書かれる立場に立たされそうである。