インドネシアの英断

 先週、インドネシアの大統領が「高速鉄道は不要。むしろ中速鉄道でよろしい」という英断を下した結果、インドネシアでは新幹線建設案が白紙撤回された。
 そのニュースを見て、私は「ああ、よかった」と思った。
 日本企業はビジネスとして日本の高度な技術をインドネシアに売ろうとしているが、東南アジアの人々に高速化を押しつけるのはやめたほうがいい。ビジネスとして急ぎたい人達は飛行機を利用すればいいのであって、庶民が高い料金を支払って、なにも急ぐ必要はない。第一、彼ら固有の生活時間を狂わしてはならない。
 先日、郡山駅の新幹線ホームで東京行きの新幹線を待っていたら、ノン・ストップの新幹線が稲妻の如く通過した。いや、稲妻よりも速かったかもしれない。仙台や青森へ急いで行く新幹線。磐越西線の各駅停車と比べると、雲泥の差だ。
 各駅停車に乗ると、「人生、急ぐなよ。あわてなくていいんだよ」と教えられる。走るだけの人生は疲れる。走らないことも必要。いろいろな時間が有っていいと思う。