はずれくじ

昨日、早稲田の古本屋街へ行った。日曜日だったので、開いている店はわずかにひとつ。店主は冴えない顔をしている。私は5冊ばかり買った。合計2千円也。
 「6枚、くじを引いてください」と、店主。「これまで沢山引いてきたけど、はずればかりなんです」と、私。目下、早稲田通り沿いの店々で、スピードくじ大会が催されているのだ。
 箱の中から6枚取ったつもりが、7枚取っていたのに気づいたので、1枚を店主に返し、残りの6枚を開けてみた。「はずれ、はずれ、はずれ…。ああ、やっぱり、はずれ」と私はぼやいた。6枚とも全部はずれ。
 すると、店主が7枚目のくじを開いた。「100円 当たり!」
 私も店主もびっくり。店主の喜びようときたら私以上であった。無愛想な男が最高の笑顔をした。
 よくよく考えてみると、私の人生は7枚目のくじのようなもの。生きる張り合いが出た。