ミカン? or   かかと?

 日本語は、「あ、い、う、え、お」の母音しかないから、外国語を学ぶ日本人は、末子音の発音がきわめて苦手だ。
 先日、お会いした元タイ語講師から、泰日文化倶楽部で教えていた時の思い出話を聞かされた。そのうちの一つを紹介すると、こうである。
 「生徒に作文を書かせると、ある生徒が次のように書きました。ผมอยากกินส้น 私はびっくりしました。何故ならば、<私はかかとを食べたい>と、書いていたからです」
 その話を聞いたとたん、私はすぐに分かった。<私はミカンを食べたい>、と言いたいのであることを。
 日本人は、末子音の、m音、n音、ng音 が弱い。だが、ミカン(ส้ม ソム)が、かかと(ส้น ソン)になってしまうと、タイ人にはさっぱりわからない。
 ついでに言うと、男性の一人称である私(ผม ポム)の発音も要注意だ。ผง(ポング)になると、埃(ほこり)や、粉(こな)になってしまうから気をつけてほしい。