大丈夫じゃない

 昨日、久しぶりにタイ人に日本語を教えた。私の教え方はひたすら語りかける方法を取っているので、生徒の聴力が向上し、自らも話そうという意欲がみられるようになったのが分かって、とても嬉しい。
 彼は質問が有ると言った。「<大丈夫です>の反対は、どう言えばいいですか?」
 「それでしたら、<大丈夫じゃない>、あるいは、<大丈夫ではありません>、と言います」と、私はすかさず答えた。
 だが、どのような状況なのかと彼に説明を求めると、電車の中で足を踏まれることが多く、その時、日本人から「大丈夫ですか?」と訊かれるそうだ。
 私はあわてて次のように言い換えた。「その場合には、<大丈夫です>というほかありませんね。もしも、<大丈夫じゃない>というと、その後が気まずくなりますから」
 日本語を教えている時、単純に否定文の作り方を教えてしまうが、状況や環境を考慮して話すことも教える必要があるなあと思った。