鎌田 慧著 『反骨のジャーナリスト』

鎌田 慧著『反骨のジャーナリスト』(岩波新書 2002年)を読んだ。扉裏に書かれた著者の言葉を引用すると、「日本の近現代にあって、権力や時代の風潮にペンで戦いを挑んだ人々から、十人を取り上げる。時代に迎合せぬ彼らの生き方は、<反骨>を忘れかけた現代のジャーナリズムに鋭く問いをつきつけている」と書いてある。
 十人の中で、女性はわずかに一人。それは、1911年(明治44年)に『青鞜』を発刊した平塚らいてう(1886-1971)だ。鎌田氏の彼女に対する評価は次の通り。
 「らいてうがまず女性だけの手によって雑誌を発刊し、自分たちの発言の場をつくりながら、当時の先進的な女性達を組織していったのは、やはりジャーナリストとしての卓抜な活動だった、と考えることができる」
 今の女子大生はリクルート・スーツを着て、就活に明け暮れている。仕事を探すのは人生最大の一仕事かもしれないが、自分を小さな枠に閉じ込め過ぎてはいないだろうか。
 「時代の転換期(転形期)には、あたらしい表現が必要とされ、あたらしい表現媒体が準備される。それをつくりだして、らいてうはあたらしい時代のドアをあけた」と分析する鎌田氏。
 昨今の新聞も雑誌も、そして、テレビも全く生ぬるい。真の、そして、反骨のジャーナリストの登場がまたれるが、これから先も期待値は低そうだ。