救急

 昨晩、火曜日の生徒さん達が楽しそうに勉強しているのを見届けてから、高田馬場駅へ向かい山手線に乗った。だが、私の乗った電車はすぐには動かなかった。何故ならば、私が乗った車両の真ん前のホームで男性がバタンと倒れたからである。意識がなさそうに見えた。駅員が飛んで来たが、駅長室への連絡のためであろうか、行ったり来たりしている。
 すると、私の横にいた女性がすかさず電車を降りて、彼の処置にあたり始めた。そして、近くの人に指示を出していた。タオルを出して、倒れた人の頭に置くように、と。彼女もバッグの中から小さなハンドタオルを出していた。
 いずれにせよ、私は救急にあたるその女性の勇気に驚いた。と同時に、尊敬もした。おそらく、看護師さんであろう。職業意識をしっかり持ったプロ中のプロだ。人を救うということにはいろいろなリスクが伴う。しかし、彼女は見知らぬ初老の男性を蘇生させようとして必至であった。そのような姿を目の当たりにして、とても心打たれた。