バンコクから休暇で帰って来られたばかりの一休さんが、昨晩、泰日文化倶楽部を訪ねて来てくださった。9ヶ月ぶりの再会である。いらっしゃることは彼のお仲間からあらかじめ聞かされていたが、実際に教室でお会いすると、まるで現役の生徒さんのように見えた。
授業後、級友達と居酒屋「青龍」へ。一休さんの頼んだ料理は刺身の盛り合わせ、それに、ひややっこ。バンコクでも日本食の店はいっぱいあるが、東京で食べるひややっこには独特の味わいがあるはず。ほとんどタイ料理で生活しておられるそうだから、えらい。だが、私は言った。「味付けが濃いタイ料理ばかりを食べていると、健康に悪いので控えめにね」
タイ語力について尋ねてみると、一休さんは謙虚に答えた。「聞き取りでは問題がありませんが、あまり語彙が増えません」
確かにそうかもしれない。毎日、同じパタンで仕事や生活をしていると、会う人も限られてくるので、使用する語彙に限りがある。それを打開するにはどうすればいいかを考えて、日々、ちょっとした意識転換をはかれば、新しい語彙が身につくことであろう。それは、日本で勉強している人にも同様のことが言える。勉強には意識改革と工夫が必要なり。
韓国語クラスの忘年会
昨晩、韓国語クラスの忘年会が高田馬場にあるイタリア料理店であった。前回は中華料理、前々回はミャンマー料理を楽しんだが、果たしてタイ料理の会合はいつになることやら?
以前にも書いたことがあるが、「韓国語クラス」は泰日文化倶楽部が運営しているものではなくて、教室をお貸ししているクラスである。末席に座って、私も参加すること、すでに1年9ヶ月。レベルが高いので、10%くらいしか理解できていないが、それでも参加することに意義有りと自分に言い聞かせている。
忘年会では幹事さんと隣り同士に座ったので、いろいろなお話を聞くことができた。彼女はサッカーの大ファンということで、大会が行われる開催地には必ず出かけて行っておられるとのこと。「来年のブラジル大会に向けてポルトガル語が必要だけど、スペイン語とイタリア語とドイツ語ができるので、まあ、何とかなるでしょう。問題は2018年にロシアで行われる大会よ。来春からロシア語を勉強する予定にしているの。4年かけて勉強すれば間に合うはずだわ」
彼女の計画的な学習意欲に私は感心した。なるほど、ワールドカップに合わせて外国語を勉強するのはいいことだ。少なくとも4年は継続学習をする意欲が支えになって、かなりのことが学べる。タイでの開催はいつになることやら? 決まれば、彼女、きっとタイ語を勉強してくださることであろう!
タイ語とベトナム語の合同クラス
泰日文化倶楽部では、月曜日の夜、806号教室で「タイ語初級 18:00-19:30」、そして、707号教室で「ベトナム語入門 19:00-20:30」を開講している。ところが、何としたことか、私が806号教室の鍵を忘れてしまった。家に取りに帰るには寒い。そこで、生徒達にお願いして、707号教室で合同授業をすることにした。ただし、タイ語とベトナム語の授業時間がかぶるのは、19:00から19:30のわずか30分だけである。したがって、生徒達も、そして、講師達も、快く了承してくださった。
教室は広いし、イスはたくさん有るので全く問題が発生せず、安心した。面白かった点は、早めにいらしたベトナム人講師がタイ語の発音に耳を傾け、聞いたタイ語を小さな声で鸚鵡返しに発音していたことだ。彼女の語学に対する飽くなき姿勢を見て、彼女が何故、日本語が格別に秀でているのかがよくわかった。
タイ語とベトナム語の同じ教室内に於ける30分対決。このようなことは、今後、2度とは無いであろうが、実に興味深かった。判定者としてクラスの盛り上がり度を採点するならば、ベトナム語が85点、タイ語が80点。すなわち、ベトナム語のほうがややリードしていた。タイ語の生徒達、頑張れ!
タイの小学校に上がる前に読む本
以前、生徒さんがタイから改訂版の小学校教科書や副読本を買って来て下さったことがある。最近、それらの中から一冊をテキストとして使用しているが、内容がとても道徳的だ。昨日の授業で読んだ課の内容を簡略にまとめると、次のようになる。
おじいさんが農民に服を売るため舟に積み込み、竿をさしながら舟を進めた。だが、舟に穴が開き、水が入ってきた。なんとか応急処置を試みたものの芳しくない。急いで川岸まで向かったが、今度は川の水が少ない浅瀬に乗り上げてしまったので、舟が全く動かなくなってしまった。そのうち竿をさす体力も気力も無くなってしまっている自分に気がついた。つまり、自分の老いを自覚したわけだ。夕闇が迫ってきている。ますます元気を無くしていった。そこへ田んぼから帰る兄妹が水牛の背中に乗って通りかかった。困り果てている見知らぬおじいさんを見て、舟の舳にある鎖を水牛の首に結びつけ、水牛に舟を引っ張らせた。舟は無事に動いた。幼き者は年寄に対して、すかさず思いやり(ความเอื้อเฟื้อเผื่อแผ่)のある行動に出た。
タイの教科書は、低学年用の教科書から、「思いやり」、すなわち、ความเอื้อเฟื้อเผื่อแผ่ という単語が登場する。この単語の発音が、日本人にはあまりにも難しすぎるので、教える側は大変である。昨日、使用した副読本の表紙に書かれている副題を見て驚いた。何故なら、「小学校に上がる前の準備のために」と書かれてあったからだ。幼稚園児から「思いやり」という言葉を習うとは……。
「女子会」のように楽しいタイ語クラス
昨日の「タイ語入門 土曜日11:00」のクラスには、珍しく男性の生徒が一人も出席されなかった。タイ女性講師と私、片や生徒は30代の女性達3名。したがって、「女子会」のような雰囲気が醸し出され、それはそれは楽しかった。「皆さん、この際だから、大いに盛り上がりましょう!」と、私も発破をかけた。
3人の生徒達はいずれも働き盛り。仕事に真摯に取り組んでおられることが、彼女達の意欲的な言葉からよく伝わってきた。天職だと思う仕事を見つけておられることはとてもいいことだ。そして、タイ大好き人間でもある。そのような方達にタイ語を教えることができ、私も幸せだ。
それに比べ、男性はいまいちよくわからない。何故ならば、授業中でも表情が硬いからである。もっと面白おかしく勉強すればいいのにと思う。あるいは、教室の外に出れば違うのであろうか。ましてや、タイへ行くと、かなり変わるのであろうか。
語学の勉強をする際、表情も大切な要素である。楽しそうに、明るい表情を浮かべると、タイ人講師もテンションが上がる。語学の勉強には表情が必要だ。明るく、振る舞うことを心がけよう!
『99歳一日一言』
泰日文化倶楽部が入っているビルの隣りのビルには書店がある。午後11時まで開いているからすごい。東京は便利なところだ。
昨日、購入した本は『99歳一日一言』(むのたけじ著 岩波新書 2013年11月刊)。私は90歳以上生きている人に関心がある。素直に尊敬したい。中でも、自分の考えをしっかりと持って、それを発信している方達には、生き方自体に共鳴を覚える。
1915年生まれのむのたけじ氏。秋田県で『たいまつ』という週刊新聞を出しておられたということは存じ上げていたが、この新書に書かれている文章は、いずれも99歳まで生きておられる方しか書けない、そして、真のジャーナリストであるが故の極めて含蓄のある文章ばかりだ。毎日一題ごとに、365日に亘って書かれているので、毎日が楽しみである。
因みに、明日(12月15日)のための文章は短いので、参考までに引用させていただこう。
「一地点から動かぬ木が長命で、人間はなぜ短命か。地球はチョコマカするものが嫌いだな」
アンコール と あんこ
昨日、フランス語の授業で面白いことがあった。生徒が「アンコール」と言うと、その発音があまりにも日本語的であったために、フランス語講師は「あんこ? ウィ ウィ 好きです」と答えた。そして、さらに続けた。「私の家族はみんな、あんこが好きです。主人はバゲットにあんこをぬって食べてます」
我々生徒は顔を見合わせた。発音が悪いと、こんなことになるんだなあと思った。和食がユネスコの世界無形文化遺産に登録されたばかりだから、和食についてフランス語で大いに論じることができる日が来るといいのだが、おそらく来そうもない。だが、目標が無いと、語学力はつかない。無理にでも目標を設定するのは肝要。
来週、フランス語クラスはフランス・レストランで忘年会をする。そのため、授業中に先生がレストランに予約を入れた。「フランス語で予約しますから、よく聞いてくださいね」と言われたので、我々生徒は緊張したが、電話を取った予約係は日本の女性であった。フランス語がわからない。先生はずっとフランス語で押し通した。2分後、フランス人男性がやっとこさ電話に出た。おそらくシェフだと思う。先生の生きたフランス語会話を聞くことができて、とても楽しいひと時であった。
年末年始のお休みに関するお知らせ
12月も中旬に入っております。泰日文化倶楽部の年末年始のお休みに関するお知らせをいたします。
今年のグループ・レッスンは12月21日(土曜日)まで実施いたします。あと1週間位になりましたので、皆さん、今年のタイ語学習の総まとめをなさってください。思ったほど成果が上がらなかったという方は、この1年間に於けるご自分の学習態度を振り返ってみましょう。意欲的でしたか? マイペースの方はそれでいいと思います。あせったり、いらいらなさることはありません。相手はタイ。タイは逃げていきません。寛容です。マイペンライ。
新年は1月7日(火曜日)から開講いたします。新しい目標を設定して、タイ語力をさらに増強させてください。日本ではタイ語でしゃべる機会がほとんど有りませんから、タイへ行く機会を増やすことは大切です。しかし、なかなかタイへ行くことができない方は、是非とも泰日文化倶楽部にいらしてください。会話力が向上するよう、しっかりとご指導いたします。
山手線の中のタイ人達
上野で開催されている「ターナー展」がもうすぐ終わるので、昨日、頑張って出かけた。外国人も多数見かけたので、ターナーの人気は高いと見た。ただし、私の場合、本場ロンドンのテート美術館で鑑賞した時の感動は蘇って来なかった。日本の美術館は狭すぎるし、天井も低く、入場者も多すぎるせいである。
そそくさと美術館をあとにし、上野駅へ向かう。山手線に乗ると、タイ語が聞こえて来た。4人のタイ人であった。彼らは池袋で降りるであろうと勝手に思ったが、なかなか降りない。電車が目白駅に着いた時、私は彼らに話しかけた。
①観光で来たの? 一人の女性が答えた。「私は東京に住んでいます。他の人は来たばかりだけど」 ②じゃあ、学生なの? 「もう卒業しました。働いてます」 ③どこで働いているの? 「タイ・レストランです」 ④何ていう名前? 「○○○ です」 ⑤その店、新宿にありますよね。「いいえ、ありません。六本木、飯田橋 などにあります」 ⑥どこに住んでいるの? 「新大久保です」
このような会話を目白駅から高田馬場駅の2分間でおこなった。私は教室がある高田馬場で降りなければならない。彼らは次の新大久保だ。降りる時、私は彼らに私のジャケットに刺繍されているタイ国旗を見せた。彼らは全員、驚いた様子をみせたが、すぐににっこりとした。
「タイ語中級 土曜日14:00」は完全会話クラス
「タイ語中級 土曜日14:00」のクラスは完全なる会話クラスである。すなわち、テキストを一切使わないので、ひたすら喋るだけのクラスだ。生徒達自身に話したい話題が無いと、このクラスは成立しない。だから、日々、話題をキープしておいて、土曜日の午後2時から爆発してほしい。幸いにも、タイ語で喋るのが好きな生徒達が集まっているので、このクラスは2年ほど続いている。
2ヶ月前くらいから、元生徒さんの自由参加、つまり、都合がつく時だけ参加するという制度が有り、クラスの雰囲気が明るくなった。一人増えれば、それだけ話題が多くなるから、会話に彩りを添える。「やめた人でも、またタイ語を勉強したい人はいるはずです。参加した時にだけ受講料を1回分支払う自由参加型にすれば、やめた人もきっと来やすくなりますよ」と、元生徒は言った。なるほど、そうだ。
日本にいると、タイ語を喋るチャンスは非常に少ない。昔は上手であった人も、しばらく話さないうちに、会話力は錆びついてきていることであろう。月に1~2回でも、ブラッシュアップすることは大いに必要である。それに、親しい人とばかり話していると、話題が偏る。知らない人と、あまり好きではない話題を話すことは、その場においては面白くなくても、いつかきっと役に立つにちがいない。