バンコク散策(2)

ナナ駅でBTS一日乗車券(130バーツ)を買い、サーラーデェーン駅へ行く。タニヤの入口辺りで5人の日本人男性を見た。1人は現地で働いている人、あとの4人はバンコクに初めて出張してきたばかりの人達という様子が彼らの会話や風体からすぐに分かった。スリウォンのジム・トンプソンでコットン生地を買い、20年来、利用している洋裁店へ行くため、再びBTSに乗り、サパーンタークシン駅で降りた。チャルンクルン通りの賑わいはいつも通り。
 洋裁店に着くと、店主のマダムとサブのマネージャーが歓迎してくれる。1年8ヶ月ぶりだ。タイ・シルクの洋服を2着、そして、持ち込みのコットン生地でブラウスを3枚、オーダーする。仕立て代が行くたびに値上げしているのが痛い。しかし、「先生にだけは特別なんですよ」と、マダムは口癖のように必ず言う。
 2日後の夕方、洋服を取りに行った時、マダムは不在であった。マネージャーと1時間半、話して分かったことは、マダムが2年前から体調を壊しており、以前ほど働けなくなってしまったということ。そういえば、前回もそうだったが、今回も目がうつろであった。マダムとしてのオーラがすっかり消えていた。ただし、10人のお針子には、2週間毎に給料計算をして、渡しているとのこと。お針子達はいつもお金が無いらしく、1ヶ月はとても待てないそうだ。18歳でお針子になったマダムは、28歳で自分の店を持ち、54歳の今、店を大きく拡張している。病気は長年の疲れからきたものであろう。
 だが、マネージャーは言った。「でもね、マダムは反政府グループに寄付をし、デモにも参加したのよ」