私の家から椿山荘まで歩いて行ける距離なので、数日前、ホームステイ中の太陽君を連れて、椿山荘の蛍を見に行った。日本の情緒を味わわせてあげようと思ったからである。
ところが、その日、夕立があり、雨がやんだあとは、ものすごく蒸していた。湿気のカーテンができたみたいで、せっかくの庭園もムンムン状態。その上、見物客がごったがえしていたので、歩いていてもぶつかる始末。
さて、お目当ての蛍だが、なんと1匹しか、光らなかった。蛍の光の乱舞を期待していただけに、まことに残念でならなかった。あまりの暑さと湿気に、蛍もまいったのかもしれない。
太陽君は、「タイでも見られる」と言って、わずか1分で見物をやめた。そう言われれば、そうかもしれない。タイのほうが、自然豊かだから。
蛍は夏のものだが、私の小さい頃は、『蛍雪時代』という受験雑誌があった。急になつかしくなった。