去来

茶道に於いて亭主は茶杓の銘を用意して点前に臨まなければならない。毎月、趣向をこらした銘を考えるとなると結構疲れる。しかし、「お道具拝見」の席においては、銘をさりげなく口の端にのせるのが自然体で良い。

12月にふさわしい銘を調べてみると、それはそれはたくさん有った。例)埋火(うずみび)、薄氷(うすごおり)、風花(かざはな)、閑居(かんきょ)、寒燈(かんとう)、去来(きょらい)、寒紅(かんべに)、蓑虫(みのむし)、白鴈(はくがん)、都鳥(みやこどり)、等々。

上記の銘はいずれも初冬を感じさせるものである。人によって好みが異なるであろうから優劣はつけがたい。私の場合は「去来」を選ぶ。2023年の出来事が衝撃的すぎて頭の中は整理がついていない。しかし、ものごとは去り行く。そして次なるものがすぐそこまで押し寄せて来ている。