渋柿

 ネパール人が経営する生鮮食料品店の店先においしそうな柿が段ボール箱に入っていた。この店はB級のものがほとんどなので、買ってもいつもがっかり。よって店の前を通り過ぎた。しかし、柿の立派な形に魅せられたため、引き返して1個だけ買った。
 その日は本箱の前に飾っておいた。そして翌日、皮をむいて、一口、口にしたところ、渋さが口中に広がった。どうやら渋柿であったようだ。そうであれば、「渋柿」と書いておくべきだ。漢字が難しいのであれば、「しぶい」という言葉を添えてほしかった。いや、そんなことを書けば、誰も買わない….。
 現在、2週間の予定でタイ旅行中のKさんは、出発前、不安そうであった。「大麻解禁のタイですから、飲料水もラベルをしっかり読んで選ばないと、匂いが身についてしまい、帰国した時、羽田空港で麻薬犬にお迎えされては困ります」、と言っていた。とにかく、製品の説明が一言でもあれば、買い手は安心するのである。