民家カフェ

昨日、都内の住宅街を歩いていると民家カフェが目にとまった。今はやりの古民家カフェではなくて、ごくごく普通の家である。
 中に入ると老人がヌーッと現れた。応接間に通される。コーヒー(500円)だけでは悪いと思い、ケーキセット(800円)を注文。出て来たケーキはチーズケーキ。
 老人が言った。「悪いですね。冷凍ケーキだからまだ融けていません」
 私は応じた。「そうですね。南極の氷よりも固いですね」
 私はそこにいた20分の間に、矢継ぎ早に老人に向かって質問を投げかけた。彼は元新聞記者であった。インドやインドネシアに駐在。ヒンディー語やインドネシア語はできないとのこと。
 私が席を立とうとすると、彼はカチンカチンのチーズケーキを出したことを詫び、彼の著書を私に贈呈してきた。『日本とアジア』というタイトル。タイのことはほとんど書かれていなかった。本の金額は1600円。ケーキセットが800円だから、私は800円、得したことになる。