都電の心地よさ

早稲田から三ノ輪橋までの12.2Kmを走る都電荒川線は、今や名前を変えて、「さくらトラム」と言う。東京外国語大学が北区西ヶ原に在った頃はよく利用したが、若い頃はその遅さに馴染めなかった。新幹線と比較する対象ではないものの、かつてはとにかく都電を馬鹿にしていた。
 ところが高齢者になり無料で乗れるようになると、俄然、都電派になった。そして、おまけに優先席に座っているのだから、ああ年をとったものだ。
 だが、今では都電の速度がとても心地よい。もう急ぐ必要はないのだ。30駅あるこの路線のどこかにふらりと降り立つのも面白いかもしれない。
 昨日、仕事が有って山手線に乗った。新宿方面行きの内回りは混んでいた。私はあえて外回りを選んだ。しかし、上野あたりから混んできた。コロナ禍以前に戻るのも時間の問題であろう。自分に一番ふさわしい交通手段を考えて、余裕のある動きをしようと自分に言い聞かせた。