島村抱月と松井須磨子

昨日、『歴史読本』(新人物往来社 2006年8月号)を面白く読んだ。見出しだけでもすごい。たとえばこうである。
 特集史論 日本史の女性 真の実力。
 特集ワイド 物語 日本の良妻賢母
 特別事典 明治・大正を生きた女性人物事典
 特集ドキュメント 日本純愛夫人列伝/日本「お騒がせ」夫婦伝/日本毒婦列伝

 「日本毒婦列伝」には副題として、<つくられた「悪女」たち>というのが並記され、[松井須磨子<女優の純愛殉死事件>]という話があった。松井須磨子と島村抱月の二人の最期に関する文章を読んで、どきりとした。
 「大正七年十一月五日、須磨子のスペイン風邪がうつり、抱月は肺炎で急死した。須磨子は二日後には舞台に立ち、その後も芝居をこなした。女優という命の糧がある。芸術座もある。やっていけるかもしれないと模索したことであろう」
 だが、須磨子は翌大正8年(1919年)1月5日に縊死した。