子供用マスク

3月下旬に、鳥取県在住の元生徒さんから次なるラインが来た。
 「先生、子供用マスクでよかったら送りますよ。亡くなった妻が子供達の健康を気遣ってたくさん買い置きしていたのが有りますから」
 その際には私は遠慮した。だが、コロナ事態が長期戦に入って来たので、どなたかのお子さんに役立てればいいなあと思って、3日前に、「やはりマスクを送ってください」とお願いしたところ、すぐに送ってくださった。
 お願いしたとたんに、鳥取県にも感染者が出たという報道を知り、心が痛んだ。なぜならば、彼にも3人のお子さんがいらっしゃる。奥様は昨年4月末に若くしてお亡くなりになられ、彼は食事やお弁当をつくるのに四苦八苦しているのに、私のわがままを聞き入れてくださり、本当に感謝している。その胸の内を彼に伝えると、こう返信して来られた。
 「先生にやっと恩返しができました。23年前に先生はこうおっしゃいました。鳥取に帰っても、おそらくタイ語を使う機会は無いでしょうから、1年間の研修中は東京を大いに楽しんでください」
 彼がタイ語になじめなかったことに対して、私は婉曲にこう励ましたらしいが、「辛口の中にも、先生の教師としての愛情を感じ取っていたから大丈夫」という返信が有り、一件落着。