「個人差があります」という広告

「2週間でしわがとれます」という広告を見て、ものすごく高い化粧品を買ったが全く効果は得られなかったという話を友人から聞かされた。それを聞いて、テレビコマーシャルの画面の片隅に「個人差があります」という表示がすかさず私の頭に浮かんだ。
 高い化粧品を否定する気持ちはさらさらない。高いものをつけると気分が高揚して、それだけでもいい表情がつくれる。だが、しわ取りとなると、自分の意志でしわを消すことができないので、いかんともしがたい。
 語学の教材についても同様のことが言えよう。短期間のうちにペラペラしゃべることができるようなキャッチコピーが多いが、その際、しゃべる内容のレベルは問われていない。自分の意見を明確に相手に伝えたり、書類を訳したりするには、かなりの語学力が必要だということまでは言わない。
 いずれにせよ、出来る人もいれば出来ない人もいる。それは事実だから、「個人差があります」という文句はつくづく便利な逃げ口上だと思う。