タイ語で「まだ駆け出しの」は何と言うか?

 昨晩、翻訳をしていると、「โดยสิ้นเชิง」という表現が出て来た。意味は、「すっかり、ことごとく」であるが、私は文脈から考えて、「完全に」と強く訳した。
 ここに使われている「สิ้น sin 下声」を辞書で引き、その他の表現にはどのようなものがあるかと『タイ日辞典』(冨田竹二郎先生編纂)を調べてみると、「ยังไม่สิ้นเขม่าไฟ」というところに目が止まった。意味は、「陶磁器のカマから出したてで、まだススも取れていない」、即ち「まだかけ出しの、まだ新米の、まだまだ経験不足の」と書かれてあった。
 このような比喩を使うということは、タイ人も陶器を愛する国民であることがよくわかる。タイ国、あるいは、それ以前のインドシナ半島には陶磁器の歴史がめんめんと流れているが、なかでも日本の茶人に愛された「宗胡録 すんころく」焼(注:スコータイ県のสวรรคโลก窯産出)は素朴でいい風合いを出している。