ファティマの聖母

70歳で定年のため、19年間、勤務した上智大学を退職した。大学を去る日、隣接するイグナチオ教会へ行き、中央の壁に掛けられたキリスト像に拝礼をして、そして、献金箱に気持ちを表わした。
 その後、同じ敷地内にある書店に寄って、自分のために記念品を買った。上智大学での教鞭生活を一生忘れないようにするためである。そこはカトリック関係のものばかりしか置いていない。私が選んだのは、蛍光スタンドの台に置けるイタリア製の置物(4x5cm)で、「ファティマの聖母」というブロンズであった。聖母に向かって、3人の牧童が素直に聞き入っている姿が気に入ったからである。
 帰宅後、調べてみると、1917年5月13日、ポルトガルの寒村であるファティマ(リスボンから約150Km)に、聖母が突如、出現したそうな….。今年は2017年。丁度、100年前のことになる。私は自分が太って(ファット fat)いるので、親近感を持ってファティマの聖母を選んだが、それは単に語呂合わせにすぎなかった。ブロンズの彼女はすらりとして美しく、後光が射している。