無事是貴人

先日、お茶の稽古に参加すると、「無事是貴人」という掛軸が架けられていた。無事という言葉は、「何事も無くて良い」という意味だが、茶道講師からもっと深い説明が有った。
 「無事には、良いことも悪いことも、両方きちんと受容するという意味が有ります。それができる人を貴人と呼びます」
 だが、ストレス社会に住む人には悪いと感じるほうが多いのではなかろうか。良いことはその1割くらい。悪いことを解決させるのは難しい。「そういうもんだ」と優しく受け止め、あとは流して行くに限る。
 泰日文化倶楽部の教室のすぐ近くに茶道具店が有る。そこへ抹茶と懐紙を買いに行ったついでに、茶道具を拝見した。茶杓の裏の絵が来年の干支である「尾長鶏」であったので、これは目出度いと持って購入。店主の話では、「尾長鶏の絵柄は、干支に関係なく、いつでも使えます」とのことだった。「そうだ、ストレス社会に於いては、気長に暮らせよ」という教えだと思うことにした。