祈り

昨日、大学で期末試験を実施した。答案用紙を回収した後、新学期から続いていた緊張感がするっと解けた。もちろん、成績をつけるまで、まだまだ緊張しなければならないが、出講という一連の任務を無事に終えることができ、ほっとしている。
 大学の門を出て隣接するイグナチオ教会に寄った。カトリック教徒ではないものの、4月からずっと見守られて来た恩顧に対して感謝の辞を述べるべく、献金袋に気持ちを託し、それから、卵型をしている本堂の長椅子の後部座席の一角に座った。
 すると、私のすぐ近くに電動車イスの女性がやって来られた。祈りの場所なので、彼女をじろじろと見るのは失礼であったが、車イスにたくさんの物をぶら下げていたので、いやがおうでも目にとまった。一人で生きているにちがいない。夕べの祈りを捧げに来られた彼女。神様が彼女に優しく祝福の手を差し伸べているように思われた。