タイ産もち粉

 昨日で今年の上智大学での授業はすべて終わった。休講もせず、遅刻もせず、模範の教師である私。授業後、学生食堂に寄ってジュースと菓子を買い、緊張感と疲れを取ることにした。
 買った菓子は「チーズあられ」。秋田市の米菓会社が造ったものである。袋の裏面に書かれてある原材料名の表記に目がとまった。
 最初に書かれている材料が「もち粉(タイ)」。いやはや驚いた。タイ語の授業が終わってまでも、タイとご縁があるとは!
 もち粉はタイから輸入され、秋田へ。そこでうるち粉(国内産)と仲良く混ぜ合わされ、<あられ>になった。北海道産チーズ・パウダーも練り込められている。そして、出荷後、東京へ。
 もち粉の長旅は私の口中に入ることで終わった。タイのどこで生産されたもち米の粉(แป้งข้าวเหนียว)なのであろうか? 授業が終わったので、タイから解放されたかったのに、タイの原材料(วัสดุของไทย)が私の体に入って来た。学生食堂の片隅で、逃れられない運命に、一人、苦笑せざるを得なかった。