小学生の少年

11月1日、広島からの帰り、瀬戸大橋を渡り、郷里の丸亀に寄った。日曜日のせいもあるが、人が全く歩いていない。実家は9月に草取りをしたのに、もう草が生えていた。
 すぐ東京に帰る必要が有ったので、1時間だけ座り込んで草取りをしていると、少年が自転車で通りかかった。どこかに行くのであろうと思っていたら、彼は私の横に自転車をとめて、こう言った。
 「お手伝いしましょうか?」
 私はびっくりした。そして、丁重に断った。
「有難う。嬉しいけれど、もうそろそろ終わりなの。どこの学校?」
 彼は答えた。「城北」 そして、去って行った。
 そのあと、私は反省した。断った理由は、少年に対して無理やり草取りをさせている、というふうに第三者から誤解されたくなかったこと、そして、指に怪我をさせてはいけないと思ったためだが、それは、いかにも都会的な発想であった、と。
彼の申し出を素直に受け入れ、手伝ってもらうべきだった。