サルトル と カフェ

世の中、カフェをやりたいと思う人は多い。カフェ・ブームだ。しかし、『カフェ 副題:ユニークな文化の場所』(渡辺淳著・丸善ライブラリー 平成7年)を読むと、フランスのカフェは歴史と文化が充満しており、単なる「お茶する場所」ではなかったことがわかる。
 サルトルやボーボワールが愛した「カフェ・ド・フロール」。だが、店主はこう言ったそうである。
 「サルトル! 彼は、最悪のお客だった。朝から晩まで、何か一杯注文するだけで、絶対お代りはせず、紙になぐり書きしていた」と。
 ところが、サルトルが実存主義の帝王として有名になると、客が殺到し、店主はホクホク顔。が、サルトルはそれが嫌で店に来なくなった。
 以上は上記の本を要約して引用したものだが、状況は十分に想像できる。
 今朝のニュースで京都が観光都市世界第一位に選ばれたと報じられたが、押し寄せる観光客を見て、京都人はどう思っているのであろうか。中には逃げ出す人も出ることであろう。